北京郊外での実験は、20日間程度であったろうか。
蘭州高原大気物理研究所の教員や学生のやる気とは裏腹に、明らかに準備不足、機材不足は否めず、昨日も書いたように共同研究としての成果は皆無であった。ただこれも昨日書いたように、若い研究者たちとの繋がりができた。北京郊外での期間が終わって、Sさんが帰国したのち、私は彼らの本拠である蘭州を訪問した。訪問したというよりは、Wさんに連れられ正味二日間の汽車旅行を楽しんで(??)蘭州まで移動したのである。汽車旅行となったのは私の希望で、郭教授から
「この共同研究は、中国科学院と日本学術振興会の研究・教育共同のプログラムです。だから観測のあとは蘭州に行ってもらって、あれこれ学生たちに講義をして欲しい!」
の申し出があり、
「それなら汽車で行きたいなぁ。日本では汽車に乗ることはまずないから。」
とお願いした。これに対し
「経路は、西安等を経由しての南回りと、内モンゴルを経由しての北回りがある。どちらも48時間程度。ただし大変疲れますよ。」
のことであったが、例のWさんと相談して、北回りを選んだのであった。
汽車は四人部屋の寝台車、今となっては随行してくださった研究所の職員の方の名前すら覚えていないけれど、Wさんと私に加えもう二人がいた筈である。

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