2019年04月06日

上向き放電で開始する落雷 2

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つらつら考えてみるに、私が雷の研究に関わったのは、福井県三国町にある200mの煙突への落雷の研究だった。ただあの頃は「上向き放電で開始する落雷」といった理解はなく、単純に
「高いところに落ちる。それにしても多い。」
といった意識程度ではなかったろうか。
やがて名古屋大学のロケット誘雷実験にも参加するようになり、これは正真正銘の「上向き放電で開始する落雷」だったのだが、あくまでも人工的な落雷であり、実際の落雷電流を測ったり使ったりできるという点に注目していた。
大阪大学に移動する1980年代の終わりころには、福井県の美浜町での雷観測にも関わっていたが、この時は送電鉄塔への落雷が原子力発電所からの電力送電と関連して問題になっていて、それでもやはり「上向き放電で開始する落雷」といった理解なんぞではなく、冬季の雷活動の場合その低い電荷中心高度の故で、「下向き放電で開始する落雷」を引き込むお迎えのリーダーが(upward connecting leader)出易いのだといった理解に拘泥していたような気がする。ただあの観測で、ビデオカメラを複数台使って落雷を記録していたところ、5つか6つの送電鉄塔から一斉に上向きリーダーが進展している記録が撮れたのだが、時間分解能16ミリ秒の記録であったため、まだまだ真実に迫ることにはならなかった。
そして大阪大学に移動、最初の観測がトロントCNタワーへの落雷だったのだから、高構造物への落雷とは縁が深い。というのに力不足とでもいおうか、あと一歩、二歩の踏み込みが足らなかったのは、残念無念の極みである。
ただ岐阜大学に職を得て今は教授を務めている一番弟子のWさんが、「上向き放電で開始する落雷」の存在、つまりお迎えリーダー放電という以外にも頻繁にあることを指摘し、風車発電への落雷被害と関連して何人かの研究者がこの種の落雷の研究に取り組んでいる。「上向き放電で開始する落雷」は、スイス・サンサルバトーレ山頂の塔への落雷の研究に取り組んだBergerの研究が教科書にも取り上げられているほどなのに、まったく身近にある高構造物から自発的に開始することもあるという理解は、Wさんの指摘が世界最初ではなかったろうか。
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posted by zen at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常生活