2020年02月03日

思い出話 14

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翌日の朝私は同じように、臨時バスに駆け込んだ。
前の日に声をかけてきた女性は、同じ席に座っており、前日と同じ様に隣の席は空いていた。
私は迷うことなくその空いた席に座りながら
「おはようございます。」
と声をかけた。
私の声が大きかったためか、私は大勢の視線を感じたような気がした。
母の教え子だというその女性は、全く頓着しない風で
「あら、今朝も一緒になったわねぇ!」
と語りかけた後
「昨日目の手術っておっしゃってたけど、網膜剥離って言ったかな、大変な病気なんですってねぇ。」
と尋ねた。彼女が私の言ったことを気にかけて調べたのかと、少しうれしかった。
私は、ほぼ三カ月間寝たきりの入院だったこと、寝てる間に20pも身長が延びたこと、それから入院を理由に高校を一年留年したこと等々を、独り話し続けた。
そうこうするうち臨時バスは、貝塚駅に到着した。
この臨時バスのサービスは、一カ月間近く続いたろうか。
梅雨を迎えるころには。水間鉄道は運転を再開し、高校への通学は平常に戻った。
当然その女性と出会うこともなくなった。
そんな六月のある日、確か最後の目の検診に行くためいつもより随分と早く家を出たら、例の女性がちょっと先を歩いていた。
私は速足で追いかける形となったのだが、気配に気づいたのか彼女は振り返って、少し驚いた風の表情で、でも
「あら、久しぶり。それにしても今朝は随分早いのねぇ!?」
と尋ねた。
「今日は目の検診で、阪大病院まで行くんです。貝塚から、難波、地下鉄と乗り継いで・・。」
と答えたら、
「じゃぁ、地下鉄・本町まで一緒できる。急行結構混むわよ。ぎゅうぎゅう詰めの電車に乗ったことあるの?」
と返してきた。私はそんな経験は、実際全くなかった。
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posted by zen at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白