2020年02月08日

思い出話 19

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次の日も、私は家を早く出た。
その朝、彼女は私より早く水間駅に着いていたようで、既に席に座っていた。
私に気付くと、えらく真顔で
「今日は急行に乗っちゃぁだめよ!」
と言ってから、となりの席に付くようにと促し
「昨日は遅刻したでしょ?」
と続けた。
私は、学校に着いたのは一時間目の中頃だったこと、だから部室で時間を潰したたことを正直に話した。そのあと話題は私の境遇に及んで
「善一郎君は、お母さんが亡くなった後は、おばさんの家にいるのね?」
と尋ねられ、少し話が弾んだ。
「正確には母の叔母の家です。居候ということになります。でも高校に入ってからは、夜は自宅で寝ています。」
「あらそうなの?あんな大きな家で一人寝ているの。怖くない?」
「怖くないけど、風の強い日は家全体が、ギシギシなって気持ち悪い程です。一人で寝るのはさみしいけど、同級生が時々勉強しにやってくるので、気が紛れます。」
と答え
「お姉さんも来てください、大歓迎します。」
と続けると
「馬鹿ねぇ。」
と一笑された。
「あぁそうそう、おばさんの家でお世話になっているから、学校から帰るとガスの配達お手伝いしているのね。高校は岸和田高校って聞いたけど、秀才なんだ善一郎君は。」
「手伝いしているのは、別に義務感からではないんです。皆忙しいので、役割分担です。それから僕は、秀才ではありません、天才です。」
と答えると、笑いながら
「不良の天才君か・・・。あれ今日はサングラスは?」
と尋ねられ、
「お姉さんの前では、かけないことにしました。」
と答えると
「あら、素直なんだ。でもそれは誤解よ。電車の中では目立つので、不良にまれるかもしれないでしょ。手術したんだから、道を歩くときはかけていいのよ。」
といったあたりで水間電車は、貝塚駅のホームに滑り込んでいた。
私たち二人は、地下道を急いでくぐり抜け、ホームの中程まで歩いた。
そして私はその人の乗った急行電車を見送った。
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posted by zen at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白