2020年02月16日

思い出話 25

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私は、数人が話し合う小声で目が覚めた。
決断できずに座って考えているうちに、私は横になってしまったらしい。女性が四五人いるらしく、それでも彼女の声ははっきり認識できた。
「あんたどうしたいん?」
と誰かが尋ねた。別の一人が
「また駆け落ちしたら!」
と、物騒なことを言っている。
「何言うてん、相手は高校生やでぇ!出戻りのお姉さんでは世間は許さんやろ。」
という半ば冷やかしの言葉に
「本当は、高校卒業してるはずなんやけど、目の病気して一年遅れてるん。そいでも大学に行きたいみたいやしなぁ。本人は自分は天才や言うてるけどなぁ。」
と彼女が答え、どっと笑い声が聞こえた。その笑い声を待って私は
「誰かいるんかなぁ?」
と声を挙げたら、
「あら善一郎君起こしてしまった?悪かったねぇ。いつかいった葛城山に上った、同級生の女の子連れてきたん。君が寝てはったから、お話ししてたんよ。」
と返事が返ってきて、縁側の方に浴衣姿の女性が五人歩いてきた。
「この人があの子?すっかり大きうなったねぇ。」
と誰かが、声を上げた。
「目の病気で三か月寝ている間に、20センチ伸びたんです。」
と答えたら、
「そういう意味ちゃうけど、・・目の病気で三か月も寝ることあるの?」
と尋ねられ、
「網膜剥離ちゅう病気です。」
と答えた。
やがて話は母親のことに及び、
「河崎先生のお葬式には、みんなでやって来たのよ。みんなでワンワン泣いたの。」
の言葉が出て時には、一瞬シーンとなった。
「善一郎君は、それから一人なん?」
と誰かが尋ねると、別の誰かが
「私達みんな応援してるから。とくにこの子は、同じ町内やし善一郎君のファンやカラ、精いっぱい甘えなさい。」
とまぜっかえした。ふと気が付くと、まだ江州音頭が流れていて、
「今日は朝まで踊るんやろうねぇ。踊り場に行こか?」
と誰かが声を上げたが、私は
「もうこのまま寝ます。」
と言ったらそれを合図に、皆が帰って行った。そして私は、すぐに眠ってしまった。
どれくらい眠ったろうか、私は人の気配で目が覚めた。驚いたことに枕もとにはその人が座っていて
「あら、また起こしちゃった。夜這いに来ちゃった。」
と言ってからぺろりと舌を出し、
「困ったなぁ。」
とつぶやいた。
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posted by zen at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白