2020年02月19日

思い出話 28

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歩き始めたその人の背中に向かって、
「お嫁に行ったらあかんでぇ!」
と声をかけたけれど、立ち止まる気配はなかった。だから次には
「お嫁に行かんといてや!」
と、少し大きな声で呼びかけたら、ようやく立ち止まって
「善一郎君が、お嫁に貰ってくれるまでに、どれくらいかかるの?」
と、振り返りもせずに答え、
「それとも、高校やめる。残り半年やよって高校は卒業するとしても、卒業したら進学やめてすぐに働くの?」
と続けた。

私の半世紀以上も昔の、私の初恋の話はまだまだ続く。
ただここで小休止して、70過ぎの爺の目線で考えてみる。
実はこの初恋の話、少しは私なりの脚色をしてある。ただ私を知っている者が読めば、アルファベットで表してある登場人物の、何人かが特定できる程度の脚色である。70歳を過ぎた爺が、何やら青臭い話を続けていて、気恥ずかしさもゼロではないが、何名かがすでに鬼籍に入っているし、めったなことでは迷惑をかけることもないだろう。そういう思いから古い日記を参考にしたり、記憶を呼び起こしたりして思い出話を綴っているのである。
それにしてもその人と私の「恋愛」、私には何としても不思議であった。私は、彼女が言ったように、はしかにかかったようなものだったのかもしれないが、少なくともその人は私に好意を示してくれていた。6歳も下の高校生に好意を持ったのは、いかにも不思議である。今風に言えば「フェロモン」のなせる業、古風な言い方をすれば、ひかれあう赤い糸があったのだろうか。ともかくその人と私は、臨時バスでの偶然の出会いがきっかけで、「恋仲」になってしまったのである。その人から見た私は「はしかに」かかったようなもの、じゃぁその人は大人の女性として高校生の私に好意を持ったのだろうか。遊び心、若い燕として接していたのでないことは、その後年を経て何度か会う機会もあったので、確信に近いものがある。このように考えると、他人を好きになるのは、人知を超えたエアポケットのようのものがあって、二人を引き付け合わすとしかおもえないのである。
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posted by zen at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白