2020年02月23日

思い出話 31

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「暑いなぁ思ったら、いつの間にか日陰じゃなくなってるのねぇ。座っていても暑いだけだから、デートらしく少し歩こうよ。」
とのその人の言葉で、私達は立ち上がった。
歩きながらその人は、話を続けた。
「私の結婚の話は、最初は黙っておこうかと考えてたの。でも黙って消えちゃぁ、こんなに思ってくれているのに善一郎君に悪いかなぁと考えたの。」
といわれて、もはや私には言うべき言葉がなかった。
私達は川べりまで歩いたり、図書館の日陰に行ったりしながら、その後の話題は私の家のことや私自身のことが多くなった。
「家のお手伝いもして、いつ勉強するの?」
の問いに、
「朝4時に起きて、2時間半が僕の時間です。中学生時代から続けてます。」
と答えたときには、えらく感心していた。その人は腕時計に目を落とし、
「どこかで簡単な昼ご馳走しようかな。ホットケーキでも良い?おいしい喫茶店知っているの。」
といって、私をビルの一階にある喫茶店へ連れて行った。
恥ずかし話ながら、喫茶店に入るのはそれで三度目で、一度目は先輩と岸高祭の衣装を仮に下寺町まで来たとき、二度目は岸高祭にやってきた堺の女子高生に誘われてといった具合、まぁ私は奥手だったということになる。実際、ホットケーキをご馳走するといわれてもイメージがわかず、本当のところはおどおどしていたのかも知れない。ただ好きな人と喫茶店に入ったというだけで、自分が随分成長したようで、少し誇らしかった。
「コーヒーとホットケーキ二つずつ。」
とその人は注文、私達は向かい合わせに座った。
「私達まるで姉と弟ね。誰も恋人どうしなんて考えないんじゃない。」
と、その人は屈託がなかった。
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posted by zen at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白