2022年05月14日

爺版・折々のことば 8

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行ってきます。
朝の出かけに言ったことばではない。
1979年4月私は名古屋大学空電研究所に、文部教官としての席を得ることになった。その赴任の前日、母を無くして以来親代わりになって育ててくれた母の叔母を訪ね、ひとしきり話した後、辞去するに及んでいったのがこのことばである。
母が亡くなって17年、苦節17年は私にとっては必ずしも「苦節」ではなかったけれど、母親代わりに母の叔母にとっては、いかばかりだったろうと、後になってしみじみ考えるようになった。ただあの時は、「行ってきます。」としか言えず、その私のことばに
「そうか行くか!」
とだけ、母の叔母は応えた。
その10年後、私は大阪大学に転任となり、帰阪して母の叔母を訪ねたら、
「善一郎、今日はお帰りやな。」
と迎えてくれたのである。
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posted by zen at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白