君、車の運転得意なんか。それやったらうちの研究室やでぇ。オーストラリアの観測に連れて行くし。結構走り回れるで。
今私立大学で教鞭をとっている愛弟子のM君が、四年生の時に私がこういって、彼の講座配属を勧誘したことばである。
M 君は何年か後に私に
「僕の人生が決まった日です!」
としみじみ、述懐している。結果的にはM君の人生を決めてしまった、私のことばなのである。
実際その後博士前期課程、博士後期課程と進学し、オーストラリア・ダーウィンの雷観測では最も貢献してくれた一人だと、私は認識している。ただ4年生当時の彼は、自動車狂に近く、車検後もあれこれ自分の車を改良したりして、俗にいう「しゃこたん」した車を駆っていた。だから席の数だけ人を乗せると、工学部の外周道路のハンプで底をガリっとやることになると、こぼしていたのが、懐かしい思い出になっている。

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