2022年05月30日

爺版・折々のことば 25

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おかぁさんも、先生やでぇ!
私が小学生の3年生だったか4年生だったかの頃の、母のことばである。
季節は多分冬で、その朝珍しく寝坊した母が
「善一郎急ぎ。今朝は戦争やでぇ。」
と物騒な言いようで私を急き立てた。
それこそ朝食もそそくさと済ませ、二人そろって家を出た。
当時は、通学路なんて気の利いた言葉はなかったけれど、母は校則で決められている通学路ではなく、俗に我々が「山道」と呼んでいた近道の方に向かった。
「山道は学校の行き帰りに通ったらあかんね。先生に怒られるでぇ!」
という私に、母が返したことばである。
「急がな学校に遅れるさかいな!」
とだけ言って、山道に急いだ。
ちなみに子供の足で30分は優にかかる通常の通学路に対して、山道は10分足らず。ただし村境の川には手すりも何もない橋が架かっており、今考えるとこの橋が危険と先生方が考えたうえでの、通行禁止の規則だったのだろう。
ただ気真面目だった母の、「おかぁさんも、先生やでぇ!」といったあのことばには、
「母は意外とおちゃめな一面もあったのだ。」
と考えたりしている。
60年以上も前の母のことばながら。
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posted by zen at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白