2022年06月22日

小学五年の夏 4

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甘やかされて育てられている私に、もともと厳しかったおばあさんであったが、温度計事件を境にさらに厳しくなった。すぐに夏休みが始まって、四六時中おばぁさんの目の届くところにいるというのも、おばぁさんには好都合だったのだろう。ともかく自由な時間が少なくなった。早朝の涼しいうちは畑に連れていかれ、おばあさんの捥いだ水茄子を畔のかごまで運ぶのが、私の与えられた最初の頃の役目だった。そのうち時折は水茄子を捥ぐこともやるようになったが、
「お前のやることは、雑だ!」
という小言が付いて回った。午前八時頃には家に戻り、朝食を食べて後しばらくは、夏休みの宿題をする時間となったものの、十日もすれば宿題はすっかり片付いてしまった。それで八月の声を聞く頃からは、午前中は自宅の庭の草抜きが日課となった。自宅は祖父が一代で財を成し、身分不相応とも思える家を建てたので、庭も広かった。家の表にも、裏にも前栽が有り、おばあさんと二人で雑草抜きをするのだが、いつまでたっても終わることがないように思われた。
「お前の抜きかたは、雑だ!」
とこれまた小言を言われながらの二三時間であったろうか。
昼食後は昼寝をしたり近くの川で水遊びをしたりすることもあったが、夕方ともなるとあれこれ手伝いを命じられた。中でも日が暮れて後、自宅の雨戸を閉めに行くのは、あまり好まなかった。小学五年生の子供にとっては大きな家で、真っ暗な家は自宅ながら何やら不気味であったのである。
温度計事件の後は、DちゃんやYちゃんと一緒になって遊ぶことは、めっきり少なくなった。その代わりというわけでもないが、おばあさんの家の向かいのY君とはすっかり仲良くなり、生涯を通じての友人となるのだが、当然この頃にはそんなことはまるで気付いてはいななかった。
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posted by zen at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷人独白