文月晦日
今書いているのは、2015年、2016年の話だから、7年も前の事である。
ともかく私にできたことといえば、日本にある僅かばかりの不動産、早く言えば親から受け継いだ田畑を処分して当座をしのぐしかなかった。とはいえ田畑は、一代で財を成した祖父の遺産を、祖母や母、それに親類の皆が守り続けてきたものだから、現時点での所有者は私ながら、
「私のものであって、私のものでない。」
といった理解を私は持っていた。いや今でもその気持ちは変わらない。
とはいえ、背に腹は代えられないのも事実で、止むを得ず1,000平米の土地を売ることにした。ご近所さんなどの口聞きもあり、比較的短期間に売買契約がまとまったのは、本当にありがたかった。それから発注してあったサーバーなどは、当面必要が無くなったと、無理やり納得してもらったが、汎用機だけに無理が通りやすかった。VHFのアンプも、取り敢えず一セット分だけ受け取って、もう一セットはしばらく待って貰えるよう、無理にお願いした。これは結構虫のいいお願いで、顰蹙ものだったが
「受注がなくなって、代金の目途がどうしてもつかない。必ず買い求めるから、ともかく半年程まって欲しい!」
と、10年来の担当者を泣き落としたのだった。
この騒動で、大阪大学で長年かけて気付き上げた私の信用は、全てとは言わないまでもかなりの部分で無くすことになったのは言うまでもない。

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