2022年07月28日

SATREPS 17

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私が製作を開始すべく腹を括ったのにはもう一つ分けがある。
その若い担当者が、
「9月の20日頃、クアラルンプールに皆で最後の説明に行きます。善さんには、雷放電監視装置と落雷可能性の事前情報について説明して頂きます。」
と告げ、受注してもらうための最後の儀式みたいなものだと自信たっぷりの言い放ったからでもある。
その頃には元の現地法人社長は、日本の本社の海外担当部長に栄転していたのだが、この説明会、儀式には参加するということも聞かされた。
二三度行った現地調査の結果、私は二台のVHF装置の設置が必要と考え、その旨説明していたので、石油会社から受注すれば、一息つけると確信していた。
若い担当者からは、日本に一時帰国し返って来た私に、
「11月1日が稼働開始ですよ。」
と、念を押したのは8月のお盆時期であった。
それから一か月はあっという間に過ぎ、元の現地法人社長も日本から一時帰国し、既に現地入りしているとのこと、私達一行は二台の車で陸路クアラルンプールに向かった。若い担当者は初めての大型プロジェクトの受注で大いに高揚気味であった。陸路とはいえ、時間距離にして大阪東京間より少し短い程度の長旅で、私達は午前5時前にはシンガポールを出発、クアラルンプールには昼の12時頃にようやく到着といった具合であった。「最後の説明会」は午後一杯をかけて行われ、夕方五時過ぎにはお開きとなった。若い担当者は、
「受注は直ぐです。今日の説明会も好評でしたし、なんと言いても先方の役員も、大いに気に入っているようです。」
と大喜びで、私も大いに気をよくしてシンガポールに戻った。
「11月1日、運転開始を守って下さいよ。」
と、担当者はシンガポールに戻っての別れ際に、また念を押していた。
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posted by zen at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷の研究