英語でコミュニケーションできないのは、日本人だけではない。
考えようによっては、シンガポール人だって怪しいものである。このように書くとシンガポールの友人に叱られそうだが、九年以上この地にいて、しみじみそのように考えることも少なくない。
実は昨日、友人から三週間ばかり預かっているプードルを獣医に連れて行った時のことである。この獣医さん、腕が良いのか結構な繁盛で、予約制なのである。だから昼前に電話をして午後二時に予約しておいて。その際
「今日連れて行くのは、私どもの犬ではありません。知り合いから預かっている犬でしてKikiといいます。」
と明言しておいたのだが、時間が来て呼び出されたのは
「河崎さん。アリスですか、シロですか?」
といった具合。
「いいえKikiです。電話した折そのように伝えたのですが。」
と返したら、獣医さんは要領を得ない感じで、早い話受付の看護師さんからうまく情報が伝わっていなかったようだ。看護師さんが私の言ったことを理解していなかったのか、獣医さんが看護師さんの話をきちんと聞かなかったのか、そこまで確かめはしなかったけれど、まぁかくのごとくなのである。この手の行き違いは日常茶飯事で、二時半の待ち合わせと聞いたつもりが二時間半後の待ち合わせだったこともある。
それから何日か前にも書いたのだが、会議で肝要なのはお互いの発言の積集合であるのに、どうもわが同胞は、和集合を合意と理解してしまうきらいがある。つまり英語という言葉の理解力が悪いのではなく、まぁ理解できていない面も否定はしないが、議論をして合意するというという手続きの理解がないのではなかろうか、というのが私の理解なのである。そしてアジア人には、われわれ日本人と似た傾向があるように思えてならないのだが、これは私だけの理解なのだろうか?

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