著名人はともかくとして、一般大衆の我々が講演を依頼され、大勢の聴衆の前で話すとなると、緊張するのが普通である。そして緊張の裏返しの結果、御自分が偉くなったように錯覚し、ついつい上から目線の講演となりがちとなることが少なくないように思う。だから講演材料を情報共有する大切さをついつい忘れ、
「皆さんにお教えしましょう!」
という態度になるのではなかろうか?
となると聴衆は甚だ面白くない。面白くないというより、講演している大センセエが伝えたい肝心が見えて、いや聞こえてこないのである。
くどいようながら、人様の前で話すとは、自分の持っている材料を、可能な限り分かってもらえるように、共有することである。そして話している最中にでも、聴衆にうまく伝わっているかを絶えずチェックする。確かに講演内容の吟味は当然大切ながら・・。
そしてこれは、我々の場合学会発表の在り方にも共通すると信じている。
長年この姿勢、持論を通しているが、学生諸君からは
「皆が皆、先生のような能力があるわけではないですし、だから読む原稿を用意し、発表練習が必要です。」
と、切り返されたことがあった。そんな時には野球の話題を例にとって
「西武の松坂は、高卒からいきなりエースやったでぇ。でけへんと決めつけるんは、先輩方の思いやりやのうて、・・・。」
と返し、
「俺は帰るけど、あと気が済むようにやって。ただ本人がその気にならんと度もならんようにも思うが。」
と、捨て台詞をおいて帰宅したものである。

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