古い話で恐縮ながら、1968年の夏休みのことを思い出している。
二度目の高校三年生を経験し、結果的には大学入試は見事に(?)落ちた。
だからあの年私は「浪人」中で、大阪市内にある予備校に通っていた。
通っていた予備校には、高校並みの夏休みがあり、7月中旬から8月末日までは自宅での受験勉強であった。夏休みに入る直前に、一学期中の内容の復習テストというのがあり、私は結構な好成績であったと記憶している。
休みに入る前日、突然教室にやって来たU主事から
「夏季講習に引き続いて来る諸君はさておき、自宅で過ごす生徒諸君は、一学期のように規則正しく生活し、一学期の学習内容の復習を怠らないように!」
と訓示された。
高校生の時のような解放感を感じることなく下校したのは、網膜剥離を患って既に高校生活を4年過ごしていたので、
「もうこれ以上は遅れることはできない。」
といった、焦りに近い潜在意識もあったからだろう。
それでも夏休み最初の日曜日は、大掃除があり一日机に向かう事はなかったけれど、さすがに焦りを感じることなかった。近年では住宅環境や清掃道具の向上もあってだろう、私の田舎では畳を上げて天日に干すという大掛かりな大掃除をする家は少なくなっていると聞く。
いや皆無かも知れない。
大掃除が終わって、おばぁさんが
「何を食べたい!」
と尋ねたので、
「すき焼き!」
と答えたら、
「そらぇぇなぁ。」
という事で、夕飯はすき焼きとなったのはいまだに覚えている。
夏の大掃除、以来私は経験していない。

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