昨今、男性はとか、女性はとか、言う修飾語をつけた話は禁忌ながら、
「総じて女性の方が仕事を並列処理できない傾向にある。」
とは、空電研究所当時可愛がってくださったE教授の持論であった。もう四十年近い昔の話ゆえ、もはや時効であろうが。
とはいえ現実に我が家人殿もこの傾向が非常に強く、何か作業をしている最中に声をかけようものなら、気が散ると言って、こっぴどく叱られることも少なくない。それゆえ私は、E教授の観察眼はそれなりに正しいとの印象を長く持っていた。
そして最近、現在お世話になっているシンガポールの会社で、男性にもそのような方がいることに気付いた。昨日尋ねたいことがあり何気なく声をかけたら
「今考えていることがあるので、邪魔しないで!」
と、かなり厳しく注意され驚いてしまった。質問自体決して込み入った内容ではなかったのでこの爺にしては本当に意外で、
「男性にもこんな人がいるんだ!」
と新しい発見であった。
私の場合、特に現役であった時には、並列処理を旨とした。例えば電話中にスタッフが入って来て恐縮気に出て行こうとしたら、
「いいから用件を話してくれ!」
と、例えばメモ書きで渡しながら電話の会話はそのまま続けたりしたものである。それに聖徳太子を真似して、一度に何人かに話をしてもらって聞き分けようと努力したこともあった。そして三・四人までなら聞き分けることができた記憶がある。とりたてて言う自慢話ではないけれど。

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