朝の通勤のバスで、家人から電話が入った。
何か急ぎの用件かと思って電話に出たら(ちなみにシンガポールでは、公共交通機関内での通話は禁止されていない。早い話マナー違反ではないのです。)
「お正月に預かってた、クルンが亡くなったんやて。今夕お葬式やそうやから・・。」
との事。
「嘘やろ?大型の老犬やったからあんまり活動的でなかったけど、それなりに元気やったでぇ。」
と返したら、
「散歩から帰って寝てたらしいけど、一時間ほどして見に行ったら息してなかったそうなん。」
とのこと。いやはや諸行無常というしか言葉が出て来ない。
大晦日の日に、知り合いのお手伝いさんの家族にご不幸があり、日本人家庭の留守番役のそのお手伝いさんが、急ぎ帰国が必要となり
「10日間ほど、飼い犬のクルンを預かってもらえませんか ?」
と、日本に正月帰国している知り合いから電話が入った。家人も私も大の犬好きで
「そんなことなら・・・。」
と二つ返事で引き受けしたら、お手伝いさんが空港に向かう途中に我が家にまで連れてきた。
実は家人、この知り合いのお宅に何度かお邪魔しており、クルンとは顔なじみだったからその大きさも知っていたのだろう、あまり驚きはなかった。ただ私は、アリスやシロというトイプードルに馴染んでいたこともあって、クルン大きさに圧倒されてしまった。ただおとなしく素直な性格で突然に預けられたというのに、拗ねたり僻んだりする風もなく、すぐに食卓のまわりに寝そべるほどであった。
一方アリスやシロは「天敵」登場とでも誤解しているのか、盛んに吠えたてるのだが、クルンはそれに動じる風もなかった。
ただ興味深く感じたのは、二日目の真夜中このクルンが寝室のドアをがりがりひっかくので
「どないしたんや?」
とドアを開けたら、のっそりと入って来てベッドサイドに横になってそのまま眠ってしまったこと。考えようによっては、預かり初めてわずか二日目にクルン自身を我が家の家族と位置付けたということなんだろうなぁ。

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