2019年04月08日

上向き放電で開始する落雷 4

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年間雷撃密度とでも和訳すればいいのだろうか、Flash density について考えてみたい。
1平方キロメートル当たり1年間当たりの落雷数で、例えばここシンガポールなら20flashes/km2/yearとされている。一年に20の落雷が多いと考えるか、少ないと考えるかは微妙なところであろうが、その議論はいましばらくはさておいたまま話を進める。いま50m×50mの正方形で1平方キロメートルを分割するとすれば、400区画に分割されることになる。ここで落雷する位置が確率的に一様分布であると仮定するなら、先程考えた正方形の区画への1年あたりの落雷数が20分の1となり、言い換えれば20年に一度の落雷と求められる。実のところシンガポールは世界的に見ても雷活動の多発地帯で、そんな地でも50m×50mの区画への落雷は20年に一度程度なのである。なおここで50m×50mの区画を例にとって考えたのは、ステップトリーダーの大雑把な平均長が50m程度であることを根拠としている。実際落雷は殆ど一点みたいなものだろうから、同じ点へ一年に何度も落雷する確率は、たとえ避雷針を装備していたとしても、さらに低いものになるのである。
しかしその一方現実に我々は、何度も落雷被害に遭う構造物の存在を知っている。確かに「雷雲の通り道」の存在するらしいことを認めているとはいえ、通常の落雷が一か所に集中することなどあり得ないのである。だから私はその原因を「上向き放電で開始する落雷」にあると考えている。
高構造物や避雷針からの上向き放電の開始は
1. 下向き放電のリーダーが近づいてきたとき
2. 水平に延びる雲放電が、偶然構造物の上部を走ることによる
3. 他地点への落雷による電磁放射波が、構造物に電流を誘起することによる

と分類できることは、一応一致した意見である。ここで1と2は、高構造物の位置と雷雲の位置が関係するのだから、落雷という結果になるのなら、それは「下向き放電で開始する落雷」という、通常の現象であろう。一方3は、確かに上空に雷雲がないなら落雷とはならないけれど、運良く(運悪く)雷雲に「上向き放電」が至るような場合には落雷となるが、これは擬人的に言うなら「雷雲が全く落雷する気の無かった」場合で、明らかに前者とは異なると考えることができるのではないだろうか?つまりこういうのをここでは「上向き放電で開始する落雷」と定義している。ちなみにロケットによる誘雷も当然「上向き放電で開始する落雷」であることに違いはない。
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posted by zen at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷の研究
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