2019年04月10日

上向き放電で開始する落雷 6

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正だ負だという話は、専門外の御常連には興味の他だろうから、その辺りは丸めてしまって続ける。一昨日、上向き放電の発生する条件を3項示した。少し退屈な内容ながら、1.静電界による効果、2.誘導電界による効果、そして3.放射電界による効果ということになる。一昨日も述べたように、1はお迎えのリーダ(Connecting leader)が大地に向かってくるリーダーに繋がって落雷となるのだから、「上向き放電で開始する落雷」とはならない。ということで、以後は2と3に限っての議論ということになる。
そして2項は、構造物の上空を雲放電が走るという偶然が条件で、上空の広がりをどの程度と考えるかは難しいけれど、距離の自乗に逆比例して影響が少なくなることから、高々二三キロメーターというのが私の判断である。さらに3項は放射電磁界の効果だから、距離に逆比例し構造物の高さに比例してというのが直感的な理解で、雷活動の活発な熱帯地方では頻繁に起こっているのだろうと考えている。それにモバイル通信の普及で熱帯のこの地にも通信用の塔が、小高い丘の上に数多く建設されているから、上向き放電の開始が頻度を増やしているのは、疑う余地のないところ。そしてこれらの何割かが現実の落雷となっているとしたら・・・。
さらに書き加えねばならないのは、2項であれ3項であれ上向き放電はその開始時から、塔に電気的につながっている設備に影響を及ぼすうえ、落雷となった時比較的大電流・大電荷になる観測事例が少なくなく、被害も大きくなることが多い。通常の落雷なら、高々1000分の1秒ほどの継続時間であるのに、「上向き放電で開始する落雷」の場合には諸設備が、10分の1秒、5分の1秒間も過酷な環境にさらされることとなる。定量的な考察は専門書や論文に任せるとしても、上向き放電による落雷を無視できないことだけでも理解して頂ければ幸いである。
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posted by zen at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 雷の研究
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