八十八夜
定年まで一年を割ってしまった10年前の今頃、当時は未だエジプト・アレキサンドリアに赴任中だった。以下はその頃(5月6日の無いようである。
日本では昨日午後11時頃,原子力発電所の稼働台数が0となった由。
そして原子力発電による電力が0となるのは,1970年以来との事である。
御常連様は1970年と聞いて
「その時の電力は何処に送られたの?」
と,疑問には思われないだろうか。
実は私達団塊の世代にとって,実に想い出深いあの大阪・吹田万博に送電されたのが1970年の事で,商用としては我が国最初の事なのである。ここで,ことさらあのという接頭辞まで付けて申し上げるのにはそれだけの理由がある。
青臭い言い回しながら,私達団塊の世代は吹田万博で,大いに啓発された。当時私は大学2年生で,万博会場が大学キャンパスの隣という地の利もあって何度か訪れ,大学生ながらに近未来技術を目の当たりに見て,大いに触発され
「あんな未来を実現する一人になるのだ!」
と考えたものである。そしてそれぞれ口にこそ出さなかったけれど,似た様な印象を持った同年輩の仲間も少なくなかろうと確信している。それが,第二次大戦から復興し高度経済成長を成し遂げた諸先輩方から手渡された我が国を,オイルショックを乗り越え電子立国日本として世界一・二の経済大国に押し上げる原動力であったというのが私の理解である。原子力発電所の話の筈が,えらく本題からずれてしまった。
さて我が国の原子力発電所稼働0の話である。
昨年3・11の地震,津波発生による福島原子力発電所の事故以来,原子力の安全性が種々取り沙汰され,現時点では否定的な意見が強い。実際あれだけの事故を起こしたのだから,当然と言えば当然かもしれない。
ただと天の邪鬼の私は思う。私自身,原子力発電に関しては完全な安全は無いと常々考えてきていたし,いずれ失くさざるを得ないとの持論を持っている。だから原子力発電に依存しないための長期展望を,皆で考える事には肯定的だけれど,今日の原子力極悪説にはなんとなく不可解なものを感じてならない。確かに政府の態度も納得できないけれど,それを批難する野党や地方自治体首長連合の態度にも納得できないものがある。だからと言って,私自身に提案すべき解答のないのも事実たけれど・・・。

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