クアラルンプールの出張からシンガポールに戻って、はや四日も経つ。そして今夕になって、ようやく旅の疲れが取れたような気がしている。73歳の老人には、大層な旅でなくとも思いのほかの負担が懸っているのかも知れない。なんぞとちょっと弱気の虫が頭をもたげている、月曜日の宵である。
40歳台、50歳台の大阪大学教員の現役当時は、週に二回も大阪・東京を往復することも稀ではなかったし、それでも午前7時出勤、午後11時退出という、俗にいうセブンイレブン生活も苦にはならなかった。東京・大阪の往復もさることながら、冬ともなればロケット誘雷実験、レーザー誘雷野外実験、北陸の冬季雷観測に、オーストラリアダーウィンでの観測は短い年でも一か月半。そしてダーウィンには大阪から駆け付け、その足でサンフランシスコに飛んでAGUに参加なんぞと、今にして思えば我田引水ながらスーパーマンのごとき大学教員であった気がする。
懐古趣味はさておき、そのロケット誘雷は来年度2023年の冬季には再開できそうだというし、色々な観測もマレーシア・クアラルンプールやマラッカ界隈で実施できそうだからSATREPS様々なのである。早い話クアラルンプールには、その準備もあって打ち合わせ、意見合わせに行ってきたということになる。そしてSATREPSの最終ゴールは、マレーシアチームへの我々の技術の移転、先の長い仕事になりそうだが、研究を進めながらのプロジェクトだけに、この天邪鬼爺には、うってつけと勝手に考えている。

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