経済力、世界第二位を誇っていた1980年代、大企業の多くの生産拠点が海外に進出した。企業のグローバル化といえば聞こえは良いが、安い労働力で利潤を上げるというのが本音だったのだろう。開発途上国にとっても、日本の高い技術を習得できるうえ、賃金という形で国民をたすけることになる。我が国にとっても当然幸いで、いつしか技術大国日本は、生産産業の空洞化を招く結果となったというのが、現実なんだろう。その結果、古い言いまわしながら、額に汗して工場で製造にいそしむなんぞということは、多くの若者にとって、馬鹿らしくとは言わないまでも、興覚めてしまう前世紀の遺物、かつての日本の遺物となってしまったのかも知れない。その結果性能検査で期待の結果が出なくても、
「ここの数字を一桁あげれば・・・。」
なんぞという、安直な方法で、性能試験を合格させてしまう技術者が、ぽつりぽつりと出てくるようになったのではないだろうか。
こういった風潮は、何も製造業に限るものではなく、この爺とご同業の大学や研究所の研究者も御同様で、科学学術論文にもデータの改竄といった醜聞が後を絶たない。
ついでにいうねら、お役人様達の文書も改竄疑惑が後を絶たないようだから、データ改竄病のパンデミックが日本で起こっているのかも知れない。
それでも今は未だ我が国の技術力も何とかしのげているけれど、いつか今日の悪弊がボディーブローのように効いて来て、身動きの取れない事態を招くかもしれないというのが、この爺の危惧するところなのである。

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