三週間預かっていた父親プードル・TinTinが帰ってしまって二日経った。アリス、シロの母娘は何やら寂しげでもある。とりわけシロは、父親とのじゃれあいを楽しんでいただけに、所在なさそうな風情である。じゃれあいは母親ともできるし、TinTinがやって来るまでは母娘の娯楽だった筈なのに、我々人間の理解を越えた何かがあるのだろう。それでTinTin の飼い主さんからは帰り際に、
「TinTinのベッドを置いて帰りますよ。」
とのお申し出で、ここは素直に感謝していただくことにしたら、シロは時折パパのベッドで昼寝をしている。ベッドというよりは、円形のクッションというのが正確ながら、トイプードルが丸くなって寝るのにぴったりの大きさなのである。家人がたまたま同形状のクッションを見つけて買い求めてきたけれど、シロには父親の使っていた方が、心地よさそうである。父親のにおいがたっぷりしみついているに違いない。昨夜も私たちのベッドに上がろうとするのを、足元にTinTinのベッドを運んできてやって、
「パパのベッドで寝たら!」
と勧めたら、素直に従っていた。どの程度理解しているのか、しかとは分からないが、少なくとも今日の助言委は理解できていたようだ。
ただ夜中に、向かいのドアが開閉するとその音を聞いて、吠えながら玄関先まで駆けていく。まだ戻ってくると考えているのだろうか?

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