雷放電に伴って放射される電磁波(電磁界)と一口には言えても、放電の諸過程に依存して違った現象となって現れてくる。つまり放電の開始に始まり、リーダーの進展中、帰還雷撃と呼ばれる大電流、帰還雷撃に続く雲内の放電進展(いろいろな名前で呼ばれているが)、後続雷撃を引き起こすリーダーの進展、引き続いて起こる後続雷撃等々、があり、それに付随する電磁界(電磁波)やその変化(記録できる波形)は、大きく異なる。いやもっと正直に言うなら、
「長年の研究で、異なるらしいことが分かってきた。」
という事になろうか。
現象そのものは多分太古の昔から変わってはいないだろうが、それに関する知見は、例えば50年前、30年前、10年前と文字通り長足の進歩、いやこの瞬間だって新しい知見が得られているかもしれない。例えば数年前に、対消滅が起こっているかも何ぞという、とんでもない発見があったほどである。(その後の追観測の結果は、知らんけど・・・。)
かつて師匠にあたる上司に
「河崎君達は、先達や私達が積み上げてきた研究を、また繰り返しやっているのだねぇ!」
なんぞと揶揄されたことも少なくない。
「雷放電とそれに伴う電磁界(電磁波)」
は、何を知りたいかによって測るべき装置が異なる。例えば一番気がかりな雷撃電流(落雷の電流)や落雷によって中和される電荷量を、隔測(リモート)で推定する場合、前者なら磁束密度を測るループアンテナやファーストアンテナと私達が呼んでいる電界センサーであり、後者ならスローアンテナと呼ばれる電界センサーが必要となる。一方リーダーのことを観測的に解き明かしたいなら、中波から短波あるいはVHFあたりのセンサーを用意し、時間同期を実現する必要がある。
一事が万事こんな調子なのである。
(この稿続く)

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