そもそも雷放電の研究は、近世(ナポレオンの頃かなぁ)になって、戦時下の弾薬庫の被雷事故対策が発端になったといわれている。まぁそんな昔のことはさておき、私が知っているのは1970年代(多分)、北米大陸西海岸、落雷による山林火災を監視するという目的で、雷放電研究の大家であるUmanとKriderがゴニオメーター方式(磁界測定による方向探査)による、LF-MF帯の落雷位置標定装置ともいうべきLightning Location and Protection (LLP)を商品化したことである。同じ頃にLightning Positioning And Tracking System (LPATS)も商品化され、こちらは時間差法(TOA)なのだが、両システムの販売合戦は相譲ることなく、しのぎを削ったのである。ただ時間差法は、複数のアンテナ局間の時間同期の正確さが、標定点の精度を左右することになる。そして開発された当時はまだGPSが実用段階に至ってないこともあり、時間同期の精度があまり重要因子でないLLPの方が徐々にリードを広げていった。ところが1980年代後半になってGPSの商用利用が可能となり、逆に守勢であったLPATSが勢いを得ることとなった。やがてLLPとLPATSを統合したIMPACTというシステムが誕生、LF-MF波帯の落雷位置標定装置としてはある意味最適化された装置という事になろう。いずれにしてもLF-MF帯の現象で、帰還雷撃電流の放射する電磁界の(電磁波)の測定で、落雷電流の推定も併せて可能なことから落雷監視という意味では極めて実用的で、今日でも世界中の国々で利用されている。北米大陸のNLDN我が国のJLDNがよく知られており、現在ではフィンランドのバイサラ社の製品となっている。
(この稿続く)

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