「末は博士か大臣か?」
なんぞという慣用句は、今日ではもはやほとんど用いられない。私、この天邪鬼爺が子供の頃は、何かの折に年寄りの口をついて出たものである。私自身大学では博士課程まで進んで博士号の学位を得て、その後研究者の道に進んだのも、周囲の環境に影響されたことは、ある程度は事実である。
こんなことをいまさらながら書き始めたのは、昨日であった若者(と言っても40歳台だけに若者とは言えないけれど)との雑談で、しみじみ時代を感じたからである。1990年代半ば以降に生まれた俗にいうZ世代でもないのに、妙に冷めたことをおっしゃっていたからである。
「ご自分の出世についてどう考えてらっしゃるのですか?」
の問いに対して
「出世なんて考えてませんよ。あと10年ほど勤務して、それなりにお金が残せれば、後は悠々自適かな?」
と返って来て、Z世代と同じような考えを持っているんだと感心した。
本音かどうかは会話だけでは判断できないけれど、まんざら嘘でもないような雰囲気。名門大学の卒業生で、
「こういう方達が、官僚になって活躍しないから、政治家がやりたい放題するようになったんちゃうかなぁ?」
と、少しだけ憂国の気分を感じた若者(?)との語らいであったという事になろうか。

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