話を本題に戻そう。
1994年だったと記憶している。福井県三方郡美浜町で冬季雷観測を行っていた時のことである。当時はマサカズ君の狭帯域干渉計と、トモオ君によるLF帯多地点観測が主力装置であり、加えてレーザー研と共同で進めていたレーザー誘雷実験を、これらの装置で記録することも重要な任務のひとつだった。
ところが狭帯域干渉計の成果は、フランスONERAグループの干渉計と比べると明らかに見劣りし、その原因解明ができず悩んでいた。そんな折にふと、
「複数の広帯域アンテナで受信し、フーリエ解析したらどうだろうか?」
という発想が浮かんだ。当時「フーリエ分光」を学んでいたことや、レーザー研の仲間たちが語っていた「太陽光でレーザーを励起する」という夢のような話も、ヒントとなったのだろう。
ただ正直に言えば、広帯域受信を思いついた瞬間には、
「うまくいけばフーリエ周波数ごとに異なる放電路が見えるかもしれない!」
といった浅はかな期待も抱いた。もっともそれが考え違いであることには、数日も経たないうちに気づいたのだが。
とはいえ試しに美浜町でVHF広帯域受信を始め、翌年には獅子吼高原で二つの広帯域アンテナを使った観測に挑んだ。本来なら三つのアンテナがなければ方位と仰角を決定できない。しかしロケット誘雷の場合は放電路のおおよその方位が分かっているため、二つのアンテナを誘雷実験場に向けて並べれば、仰角を推定できると考えたのである。
この観測を担当したのは、前年のLF多地点観測で成果を挙げていたトモオ君だった。結果は見事というべきであろう、上向きに進展するリーダーを捉えることに成功したのである。そしてその翌年には、中国高原地帯での岐阜大と中国科学院の共同研究において、トモオ君が三アンテナによるVHF広帯域干渉計を実施し、これまた大きな成果を収めることになった。
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