もう何年も前のことになるだろうか。
一月だというのに珍しく暖かい日があり、その日、庭先を一匹の蝶がひらひらと舞うのを見た。「暖かいから間違って出てきたのかねぇ。すぐ寒くなるのに、かわいそうやなぁ。」
我々の感覚――いや、常識というものでは、蝶は春から夏にかけての昆虫である。
だから私も、あの日の陽気にだまされて、さなぎから早まって出てきたのだろうと、素直に思い込んでいた。その後は季節らしく寒い日が続き、蝶のことなどすっかり忘れてしまった。
ところがあるテレビのニュースだったと思うが、「越冬する蝶」という話題を取り上げていた。
東京都内で、数百匹単位で越冬しているというのである。
彼らは寒さを避け、常緑樹の枝や葉にしがみつき、暖かい日には少しでも居心地の良い場所を求めて飛ぶこともあるらしい。
ただ気温の低い日が続くと体力が落ち、もし地面に落ちようものなら、二度と木々の上には戻れず、そのまま命を落とすという。
逆にいえば、そうした試練を生き抜いた者だけが、次の世代を残せるという、厳しくも確かな自然の摂理なのだ。
恥ずかしながら、私は蝶が成虫のまま越冬するとはまったく知らなかった。
そういえば、これもNHKの「ダーウィンが来た」だったと思うが、春から夏にかけて中米から北米五大湖付近まで渡る蝶の話を見たことを思い出した。
夏の終わりから秋にかけて南に移動し、冬を中米で過ごすという内容だった。
そのとき、一本の木に無数の蝶が群がってじっとしている映像を見て、なるほどと思ったのを覚えている。
あの時どうして「越冬」と結びつけて考えなかったのだろう。
今になって、自分の迂闊さというか、注意力の足りなさに苦笑している次第である。
御常連の皆さまは、蝶が越冬するという話、ご存じでしたか?
ちなみに最初に紹介したニュースによると、地球温暖化の影響かもしれないが、東京で越冬する蝶の数は年々増えているとのことだった。
最後にもうひとつ、蝶には成虫で越冬する種、暖かい地域へ飛んでいって(日本の場合、台湾や琉球)冬を越す渡り種、さなぎで越冬する種、卵で春を待つ種とあるらしい。
ファーブルもびっくりしてるだろうなぁ。あの人暖かい国の蝶しか知らんかったらしいので。
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