2025年01月30日

雷放電の物理

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愛弟子の一人ヨッサンが、「雷放電の物理」という教科書を上梓した。
わざわざシンガポールまで送って来てくれたこともあって、急ぎ読ませて頂いた。
版元の朝倉書店からは、最初この爺に執筆の依頼を頂いたのだが、年齢のせいか、はたまた熱帯のシンガポールに移り住んでいるせいか、どうにも書く意欲がわかなかった。依頼を頂いた際は二つ返事で引き受けたというのに、である。
その後一日伸ばししていたが、
「わてには無理やなぁ。若い弟子たちに頼もう。」
との結論に至り、愛弟子の一人タケシクンに声を掛けたら、
「それならヨッサンと、三人で分担執筆にしましょう!」
との代案が提案され、それに落ち着きそうになっていたが、昨年の今頃急転直下、ヨッサンの単著となってしまった。まぁそういった経緯はともかく、ヨッサンの名著は果たしてどれくらい読者を集めるか大いに気になるところである。
さて文頭にも書かせて頂いたように、うれしさもあって「雷放電の物理」を急ぎ読ませて頂き、その後ヨッサンとあれこれ読後の感想の意見交換をするうち
「ロケット誘雷含め、誘雷に関しての記述が言葉足らずやなぁ、内容も含め・・・。」
に至り、
「次は誘雷について書いたら・・・。」
と言葉を続けたら
「誘雷では売れないですよ。だから出版社もうんとは言ってくれないでしょう。」
とえらく否定的な見解を告げられた。
そうなると天邪鬼の虫が頭をもたげ、
「そう言うなら、まずあれこれ内外の資料を集めるから・・。」
とついつい、口走ってしまった。
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2025年01月11日

北東モンスーン

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モンスーンの雨が、続いている。
ちなみにこの時期は、北東モンスーン。
金曜日の朝から降り始め、この調子だと明後日月曜日までは続く勢いらしい。
雷放電活動は活発ではないものの、時折結構長く続く雷鳴が聞こえたりする。
この長く続く雷鳴の種明かしをしたいものだと、久しく願っているのだが・・・。
よくよく考えれば、1989年のインドネシアでの最初のロケット誘雷実験はこの時期だった。
残念ながら初年度は、いろいろトラブル続きで、徒労に終わったけれど。
そして次年度からは、場所と期間をそれぞれ、ボゴール郊外と4月と移し、その年1990年4月に初誘雷したと記憶している。誘雷の成功は35年も昔の事で、だからマレーシアのSATREPSでも誘雷が主題の一つになっている。マレーシア研究機関への技術移転と確立が主テーマ。道のりは長いような気もしている。
ここまで書いたらまたまた長い雷鳴である。
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2024年12月30日

誘雷したそうや

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昨日早朝、ようやくロケット誘雷が成功したそうだ。
誘雷は午前5時46分39秒との事で、非常にめでたい。
誘雷自体全く新しい実験でないことは事実ながら、自然を少しでもいじれるというのは、へっぽこ科学者と言えども面白いし、誇りにも思いたい。残念なことに素人受けするビデオ撮影は失念していたようで、成功時の興奮ぶりが何となく理解できる。
口幅ったいようながら、弟子のM君のこれまでのフラストレーション、一か月近くも誘雷の機会がないというイラ立ちも、これで一挙に解消だろう。
次なるステップは、マレーシアの仲間達への技術移転。
赤道帯・熱帯の雷雲は、また性状も異なるので、別の苦労もあるだろうが、ともかくも一歩前進できたことは間違いなかろう。
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2024年12月27日

金沢の実験

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師走も押し詰まって来て、もう27日である。
天邪鬼爺の私がシンガポールに戻って、はや四日経った。
それでも、金沢の誘雷実験は依然として成功していないようで、大いに気が揉めている。
クリスマス寒波を期待していたけれど、付近にはそれなりに雷放電活動があったというのに・・・。
冬季の誘雷実験は、名古屋大学のグループが1980年代、1990年代に「確立」されたというのが、爺の理解。
そしておおよそ20年の時を経て、愛弟子のM君が再開、同じく愛弟子のT君が手伝い、マレーシアとの共同研究。マレーシアには技術移転という触れ込みなのだが、現時点では暗中模索といったところであろうか?ここは我慢、忍の一字であろう。がんばれ!
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2024年12月18日

待たれる寒波

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貝塚市の自宅にいる。
金沢から戻って二日経つ。
75歳(と言ってもあと一か月で76歳)の爺には、旅行疲れからの回復に日数が必要。
金石の誘雷実験場にいるときには感じない疲労感が、爺の眠気を誘う。
ただ貝塚の空模様は、当然ながら北陸とはすっかり違う。
金沢では、いきなりの霰が降ったり、かと思えば日が射したり
「弁当忘れても、傘忘れるな!」
古くからの言い伝えを実感できるお天気だった。
それでも懸案のロケット誘雷の機会がほとんどなかった。
寒波がやってはきたけれど、今一つ弱かったのだろう。
マレーシアから遠路はるばるやって来ていた7名だか8名だかは、試射はともかくカウントダウンしてロケットを発射する機会もなかった。一週間以上もあの金沢にいて、気の毒な限りながら、現在大阪に戻っていらっしゃる。明日いよいよ日本を離れるというので、今日一日は自由行動となっている。
皮肉なことに、明日にはまた寒波がという予報が出ている。
誘雷チャンスかもしれないというのに・・・。
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2024年12月16日

金沢にて 2

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金沢のホテルに戻っている。
ゲーヤンは病院の診察が月曜日にあるという事で、昨日11時頃大阪に向かった。
ユーサンと天邪鬼爺はもう一晩機会を待つという事で、金沢にいる次第。
天気予報の通り、昨日土曜日の早朝から寒波がやって来て、時折霰が降ったり、沖に稲妻が見えたりと、期待はさせるのだがロケットに点火して誘雷を狙う機会は日曜日の夕方まではまだない。
ところで北陸・金沢の天気、降雹と晴れ間が周期的で、ゲーヤンとユーサンには珍しかったようで、やけに感激していた。それに気長に機会を待つというあの姿勢、
「研究姿勢、気長に、気長に」
と、ゲーヤンの印象である。そういえばレーザー誘雷を、阪大レーザー研と共同でやっていた時、ある教授の先生
「気象屋さんは気が長いねぇ!」
と感心されていたのを思い出した。同じ大学人でも、自然を相手の研究と工学の研究ではすっかり違うのは止むを得ない。ともかく誘雷の成功をひたすら願う爺である。
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2024年08月13日

MyHVnetコロキウム

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昨日書き忘れた。昨日は「御巣鷹山忌」。日航機が御巣鷹山に墜落して今年で39年。来年は40年忌となる。

さてこの爺、日曜からプトラジャヤUNITENに来ている。
高電圧系のコロキウム(MyHVnet)があるというので、愛弟子のT君に発表を奨め、広帯域干渉計(VHFLCI)の最新の観測結果を紹介してもらった。VHF LCI自体随分と改良を施したので、今までになかった興味ある観測結果も数多く得られている。とはいえこのコロキウムはマレーシア国内で閉じているので、早いうちに論文としてまとめて、専門誌に投稿し同業者の批判を仰がねばならない。そして天邪鬼爺は、充分批判に耐えうる結果だろうと、確信している。ちなみにコロキウムには、都合100名弱の参加者があったろうか。全体での開会式とキーノートスピーチの後は、三つの分科会に分かれての発表・討論。T君は、雷放電・耐雷のセッションで発表し、質問も二三有ったので、参加者には興味を持ってもらったようであると、ひと安堵した次第である。
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2024年08月04日

夏季雷の観測

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北陸・金沢で広帯域干渉計を稼働している。
愛弟子のM君が教授を拝命している、近畿大学の研究室が・・・。
そしてSATREPSのスタッフとして近畿大学で働いているT君が、頑張って解析を行っている。
まぁ装置自体あれこれ改良をしたので、今まで見えていなかった現象が見えるようになっている気がする。正確にいうと気がするのではなく、今まで理解していたのとはいささか異なる理解が出来そうといった感じなのである。いずれにしてもT君の頑張りに負うところが大きいけれど、天邪鬼爺は爺なりにあれこれ考え、的を得ているのか的外れなのかはさておき、あれこれ存念を提供している。
今まで見えなかった現象が見えている点に関しては、アメリカのライバルの論文に、勇み足的な内容があるので、
「これはたださなあかんねぇ!」
と信じている。ただアメリカ人と英語でやりとりして、勝てるか知らんとの心配もある。それにしても装置改良後の大漁は嬉しい限りである。
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2024年07月12日

大気中の放電進展

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大気中の雷放電に関わる現象、言い換えると落雷及び雲放電の事なのだが、古くは信仰の対象となるほど、不可思議な現象と考えらえられていた。
ただ18世紀中頃、ベンジャミン・フランクリンにより、「雷放電は、雲内の電気的現象である」と示されて以来、多くの関連研究者の努力もあって、落雷にせよ雲放電にせよ、一通りの理解がなされている。例えば光学観測という観点で論じるなら、ボイズカメラ、ストリークカメラ、さらには電子技術の進歩に負うところの多い高速度カメラ利用へとの変遷に呼応して、コロナ放電の開始、ストリーマ進展、ステップトリーダ進展、帰還雷撃、ダートリーダ(時にはダートステップトリーダ)進展、後続雷撃といった、対地放電のシナリオが提言され多くの教科書に紹介されている。このシナリオは、雷放電に伴って放射される電磁波の観測によっても類似内容の確認が可能であり、詳細な点を除いて、大気電気学分野研究者達の共通の理解となっている。筆者らも、VHF波帯の広帯域干渉計の観測を通して、放電進展のシナリオの確認という点で、少なからず貢献してきたと自負している。
このような経緯を踏まえ本稿では、ステップトリーダの進展に関して、特に負極性落雷に至る過程を、より深い理解を得るべく議論する。光学観測の結果によれば、ステップトリーダは数十メートルの進展と休止を繰り返し、100ミリ秒程度の時間をかけ大地に近づきやがて帰還雷撃に至ることが一般的な理解である。即ちステップトリーダの休止は、その進展により先端の電荷量が少なくなり結果として電界強度が減少、それゆえ電荷が先端に供給されるまで休止しているのだろうという理解である。しかしながら一方、物理学・気体分子運動論の常識として、大気圧力下における粒子の平均自由行程は、おおよそ80nmであることが知られている。この平均自由行程と、ステップトリーダの光学観測を通じて知られている平均長数十mを比較して、筆者らには
「なぜステップトリーダは、一挙に数十mも進展できるのだ?」
といった疑問が常にあり、観測を通じての現象論的理解はともかく、片や数十メートル片やナノメートルというあまりの開きにジレンマを感じていた。
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2024年07月06日

朝の雷鳴

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昨日の事。
朝の出かけ、小雨模様でいきなり遠雷を聞いた。
恥ずかしながら、雷放電物理の研究者で、電荷分離はじめ一通りのことを把握している筈なのに、あのような状況下での不思議感はぬぐえない。
その後バスやMRTを乗り継いで、職場についた時にはカンカン照りであったけれど、またぞろ雷鳴、それもそう遠くない、近雷を聞いた。シンガポールは小さな国だけに、こういった状況も原理的には不思議はないけれど、それでも実感として
「不思議ななぁ!」
と、ついつい考えてしまう。
自然現象は、ある意味不思議の連続で、
「なんとしてもこういった雷放電の筋書きを観測を通してきちんと理解したい。」
というのが本音なのである。
つらつら考えるに、日本の雷放電活動とシンガポールやマレーシアのそれらとの相違は、継続時間の違いだろうか。つまり後者の方が総じて長いような印象。一方北陸冬季の雷活動も、雷鳴を通しての印象は、夏季のそれらより随分と長いような印象がある。いずれにしても印象だけで科学はできないから、SATREPSの観測を充実させたいと頑張っている。
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