⇒⇒⇒⇒読後に投票願います!夏の風物詩である雷は、古来より畏怖と信仰の対象でもあった。「風神雷神」の名画に象徴されるように、その姿は人々の心に強く刻まれてきた。江戸時代に描かれた尾形光琳や俵屋宗達の傑作を、実際にご覧になった方も少なくないだろう。
雷が自然科学の研究対象となったのは、18世紀半ば、欧米で盛んに行われた実験の時代である。中でも有名なのが、ベンジャミン・フランクリンによる
「雷雲下での凧揚げ実験」である。彼はこの実験を通じて、
「雷放電は雲の中における電気的な現象である」ことを初めて実証した。さらに、雷の危険を防ぐ手段として避雷針を考案し、その実用性を世に広めたことで、今日に至るまでその名が記憶されている。
余談ながら、我が国にも19世紀初頭にフランクリンと同様の実験を行った学者がいたことをご存じだろうか。中環(なか・たまき)という人物である。鎖国の只中にあって、わずか半世紀の遅れでこのような実験が行われたことは驚嘆に値する。当時唯一の交易国であったオランダを通じて、蘭学の知識として伝わったと考えられる。
さて、雷放電が再び科学の焦点となるのは、1930年代のことである。技術の進歩により光学観測が可能となり、アメリカや南アフリカの科学者たちは「ボイズカメラ」を用いて雷の進展速度を測定するようになった。
さらに1970年代には、雷放電が放射するラジオ周波数の電磁波を利用した研究が始まり、いわゆる
「落雷位置標定装置」が実用化された。この装置は、雷撃位置をほぼリアルタイムで地図上に表示できるもので、アメリカで実用化された後、日本でも電力会社を中心に導入され、今日では全国ネットワークが構築されている。
雷放電とひとことで言っても、その実態は
「対地放電(落雷)」と
「雲放電」の二種類に大別される。前者は雲内の電荷が大地に向かって放電する現象であり、後者は雲内で完結する放電である。いずれも光と音を伴うが、先述の光学観測や標定装置が対象とするのは主として対地放電である。
科学者の探究心はそこにとどまらず、
「では、雲の中では何が起きているのか?」という新たな問いを生んだ。
この疑問に答えるべく、関連の研究者たちはテレビ周波数帯(VHF/UHF)の電磁波に注目した。1980年代後半以降、日米欧で進められたこの研究では、雷放電の進展先端から放射される電磁波を観測することにより、
「雷の走る様子(放電路)」を可視化できるようになった。特に、光学的には見通せない雷雲内部の様相までも鮮明に描き出すことが可能となった点が画期的である。
中でも
「VHF波帯広帯域干渉計」と呼ばれる装置は、大阪大学において発案されたものであり、現在では世界各国の研究者が利用してくれている。

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