2017年11月24日

雷放電 1

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たまには専門の、雷放電活動について考えてみたい。
日本では今夏も暑かった模様で、
「地球温暖化の影響で雷活動も活発。落雷数も年々増加の傾向にある。」
といった新聞・テレビ報道があるかと思えば、
「東海地区で、一日に2万回以上の落雷が記録されました。これって地球温暖化の結果ですよねぇ。何かコメント頂けますか。」
といった電話取材が、テレビ局からあったりする。
一方日常生活とはかけ離れている
「北陸地方の冬季雷観測で、落雷放電の発生によるガンマ線放射はおろか、反物質の生成が起こっている様だ。」
といった超科学的な話題が、今週になって飛び込んできて、私自身も驚かされている。
雷放電に伴うガンマ線の発生は、最近十年程から、我々の同業研究者仲間〈ライバル〉の重要な研究主題となっていたとはいえ、「反物質」まで生成されているとなれば、とてつもない大発見となる。現時点では、「反物質」そのものが検知されているわけではなく、「反物質」が消滅するときに発生するガンマ線や窒素の同位体によって、間接的に確認されているらしいのだが、そのうち直接検知をといったプロジェクトも立ち上がるに違いない。
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2017年10月31日

シンガポールの雷活動2

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シンガポールの雷活動について続けたい。
雷雲、積乱雲、入道雲となると、この爺何ぞ無条件についつい鉄床雲(かなとこぐも)を頭に浮かべる。この鉄床のできる所以は、強い上昇気流が「対流圏界面」付近にまで押し上がりモクモクとした「入道雲」となるのだが、圏界面はなななか突き破ることができず、従って圏界面付近の風向きに沿って水平方向に広がるからなのである。私が雷放電活動を最も多く実施してきたのは、多分オーストラリアダーウィンで、あのあたりの鉄床雲は半端ではなく、現地では「ヘクター」の異名を冠していた。だから、この地でも同様と思い込んでいたのだが、最近必ずしもそうでないことを知ることとなった。
(ほんまに疎い話で、穴があったら入りたい心境である。)
そのきっかけは、チャンギ空港の気象台を訪問した際見せて貰ったレーダーの観測結果である。
「結構雷放電多いのに、鉄床みえないなぁ!」
という私に
「シンガポールの積乱雲は、多くの場合鉄床雲にはならないんだ!」
の答え。そして過去のデータを探しながら
「この日は、少し鉄床雲らしいかな。」
「これこれ、これなんぞは立派な鉄床雲だ!」
といった具合に、二三の例外を示してくれたけれど、大多数がほぼ鉛直方向に成長しているのみであった。そして
「あなたの知っているのは、熱帯かも知れないが、赤道帯でないんだ。」
という決めことばで、
「なんといっても赤道帯は上空のウインドシアがほとんどないからねぇ。」
と締めくくられた次第。
確かに言われてみるまでもなく、この地域は対流圏界面は15kmほどもあるうえ、夏至と冬至期の偏東風ジェット気流の出現時以外、鉄床雲は稀なのであろう。
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2017年10月30日

シンガポールの雷活動

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シンガポールに来て4年強。BOLT 及びLIVEという装置の販売が主目的ながら、現地雷活動の調査研究も行っており、たまにはそんな内容も披露したい。
シンガポールは年間の雷雨日数、200日を超す。
地理的条件に詳しくない御常連さんのために申し上げるなら、シンガポールは北緯一度に位置するので広い意味での熱帯ながら、もっと詳しくは「赤道帯」の国である。国とは言っても都市国家で、総面積は719平方キロメートルというから、東京23区より少し広いだけの国である。ただこんな狭い街であっても、雷活動の発生具合に非常にばらつきがある。たとえばマレーシアと接する北外れのウッドランドと呼ばれる地域は、異様に雷活動の頻度が高い。一方、私が仮住まいしているローヤンクレセントと呼ばれる地域、ウッドランド同様シンガポールの北外れ、マレーシア南部に接しているのだが、逆に異様に雷活動の頻度が低いのである。つらつら考えてみるに、マレーシアとシンガポールの間は「ジョホール海峡」が横たわってシンガポール島を取り囲んでいる。、我々の感覚から言うと「広い川」みたいなものかも知れない。赤道帯のこの地域は通常東風が卓越しているのだが、一方インド洋からスマトラ島を越えての南西風が、ジョホール海峡に沿って吹きあがる。この二つがウドランド界隈でぶつかって上昇気流を形成し、電荷分離を引き起こし雷雲を定常的に発生させるというし無味らしい。先日ベネズエラのマラカイボが「世界一の雷活動地帯」とTV番組で紹介していたけれど、ここシンガポールだって負けてはいない。
一方同じシンガポール島北部でもローヤンクレセント沖は、異様に雷活動が低い。地上付近の風、この辺りではどうも素通りして品を横切ってしまうのかもしれない。なお一番雷活動の激しい当たり、一年間の1平方キロメートル当たりの落雷数は、30程度である。高いとみるか低いとみるか、判断の判れるところだろうか?
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2017年06月04日

雷鳴について考える

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日本のちびっこ・お友達、Mちゃん、Dちゃん、Aちゃん元気ですか。
何日か前に、雷(正確には雷鳴っていうんですが)の大きな音について質問してもらいました。このブログで説明しておきましたが、判ってもらえたかなぁ?一緒にいて絵をかいて説明したりすると、多分判ってもらいやすいと思うんですが、文だけちゅうのはね、本当に難しいです。ただ言いたかったのは、身に危険があるほどの近さなら、大きな音ではなくシューッというような音がまず聞こえ、その後ドカン、そしてゴロゴロとなる筈です。ただMちゃんの知りたかったのは
「雷は、近いほど音が大きいですか?」
という質問だったので、上に書いたような細かな話ではなく例えば、2q先、4km先、8km 先なんて状況を考えて、
「近いほど大きいですか?」
と、尋ねられたと理解して答えるなら
「近いほど、大きな音になる。」
で正解だと思います。
ただもう一つ考えなくてはならないことがあります。
それは稲妻は雷の落ちた点から随分長く延びて雲の中や外を走っていることです。
つまり8km先に落ちても雲の中に入って私達の方に向かっている場合や、私達から遠ざかる場合が有ったりしますので、答えは結構複雑になります。つまり、近い・遠いなんて簡単には決めることができないのです。ただ詳しく書くとみんなを混乱させてしまうので、ここではこれ以上書きません。知りたいかもしれませんが我慢してください。一度手紙に図入りで書いて送ろうかとも考えていますが、多分夏休み前くらいには届けるようにいたします。乞うご期待です。
そうそう、三人がシンガポールに来たときお友達になった、Eちゃん、Yちゃんが、今週三人を訪ねると聞いています。楽しみですねぇ!Eちゃん、Yちゃんによろしくお伝えください。
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2017年06月02日

近い雷鳴

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日本にいる小さな「友人」から質問を頂いた。
雷は、近いほど音が大きいのですか?
というものである。
とりあえず一般論での回答を
「原則遠いより、近いほうが大きいです。」
としておいた。ただこのブログで、もう少し正確にこたえたいと考えた。
まず、雷の音すなわち雷鳴に関して、雷が落ちたつまり落雷を対象として答えることにする。
まず雷鳴の原因である。
これは落雷の電流が一秒に満たない短い時間の間に雲と地面を行き来することによる。我々が眼にする稲妻は、雷の電流が流れて光いるのだが、雷鳴は稲妻全体からの音のあわさったものだと考えてよい。それゆえ、2q先の雷より4q先の雷の方が、雷鳴は小さく聞こえる。話し声も距離によって小さく聞こえるのと同じである。
ところが落雷地点がものすごく近いようなとき話が少し変わってくる。ものすごく近いの定義は難しいが、例えば20mほど先(非常に危険な状態にあるから、経験しない方が好ましいのだが)の場合にはどうなるか。雷鳴は、まず落雷地点の稲妻部分から耳に届く。この音は落雷電流によって空気が急激に膨らむ音で、甲子園風船のような「シュッ」という音(まぁ破裂音とでも言おうか)に近く、窓が揺さぶられるようなときもある。「どかん!」というような音が少し遅れて聞こえているかもしれない。そしてというかやがてというかゴロゴロという普通の雷鳴が聞こえる。こんな説明で、小さな友人が理解してくれるかどうか自信はないが、急ぎブログで答えておきたい。
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2017年05月18日

シンガポールの雷活動2

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さぁ、昨日の続きです。
ちびっこ達にも考えてもらいましょう。
雷雲の電気(正確には電荷と言いますが)の発生は、上空の気温が摂氏マイナス15度の高さです。
(負の数、マイナスの数は小学生のちびっこには、少し荷が重いかなぁ?)
高い山に登ると夏でも涼しいように、上空に行くと言い換えれば高度が高くなると気温は下がります。その下がり方は、その時の湿度によっても変わりますが、大雑把に言って100m高くなるたびに0.6度ずつ低くなります。つまりこのことを知っていれば、雷の電気のある高さが、おおよそですが判るのです。
日本の真夏、雷雨の発生するような日なら、地上の温度はきっと30度以上でしょう。ですから電気のできる高さと地上の間には、おおよそですが45度の温度差があることになります。この45度の温度差から、おおよその高さが求まるのです。ところでシンガポールも、地上での気温は似たようなものですから、日本の夏と同様に考えて、まず間違いはありません。
つまり先ほど示した100mについて0.6度温度の下がることを考えますと、45÷0.6という割り算で高さが求まるのです。この割り算の結果は75ですから、100mが75個言い換えれば7500mが、雷の電気のできている高さということになるのです。自然現象ですからあるきちっと7500m ということは無く、ある程度の幅を持っているのが普通ですし、経験的にその幅が500m程度と判っていますので、7000mから7500mの高さに、雷の電気があると理解してもらってよいと思います。この高さ、なんと富士山の高さより高いのですから、唱歌にある
かみなりさまを下に聞く、富士は日本一の山
という歌詞には、疑問符が付きそうです。
いずれにしても、雷が落ちるという現象は、こんなにも高い位置から始まっているのです。
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2017年05月17日

シンガポールの雷活動1

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シンガポールはひところの雷活動が少し影を潜め、天候自身少し落ち着いてきた感がある。確かににわか雨が降ったりというのはあるにしても、長引くようなことは少なくなった。赤道直下だけに、それでも一週間に一度程度の雷雨はあるのかも知れないけれど、九月か十月まで、雷様も一休みといったところといった雰囲気である。そんな今日、若手のスタッフと話し機会があった。議論を進めるうち、雷雲内の電荷分布や、その高度を観測を通じて推定するための議論に及んだ。そして驚いたのは、この若手スタッフ三角関数をあまり記憶に留めていないらしく、tanθと言ったら不思議そうな顔をするので
「高校の数学で習っただろう。Trigonometric function だよ!」
といっても、浮かぬ顔つきである。三角関数理解の鍵である単位円(Unit circle)を図で示しても、ますます困惑顔である。
「よしんば高校でやっていなくても、大学の数学解析で必ず勉強するはずだよ。今後理解していないといろいろ困るので、復習しておいて!」
と告げて、三角関数の議論はおしまいにした。それにしても釈然としないやり取りになってしまった。
話題を雷雲内の電荷分布に移して、これはこの爺からのいわば講義みたいなもの。
「雷雲の中では、落下してくる霰と、上昇気流で吹きあげられている雪が接触すると、電荷の分離が起こるけれど、接触するときの周囲気温がマイナス摂氏15度の時、電荷分離する効率が一番高いんだ!」
とまで説明したとき
「それでその高さはどれくらい?」
と、尋ねられ若干鼻白んでしまった。
小学生のちびっこには少し難しいかもしれないけれど、理科好きの中学生なら高さの出し方が判る筈。だからこの続きは明日にでも。
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2017年03月13日

雲と雷放電

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プロ野球パシフィックリーグ・南海ホークスの監督だった鶴岡さんは
「グラウンドに銭が落ちている。」
という名言を残されている。
同じようにいうなら、この爺の場合
「空の雲には、銭がのっかっている。」
とでもいうことになろうか?
というのも、最近始めたフェースブックに、シンガポールの雲の写真を掲載したら
「さすが雷博士ですね!」
とのコメントを頂いたから、こんな風に考えた次第だから。
雷放電の研究者は、概して落雷や雲放電に注目する傾向にある。傾向にあるというのは実は不正確で、それらにしか興味を示さないことが多く、その原因である雲の様相に無頓着なお方が多い。かくいうこの爺も、研究に関わりだした頃には、同じだったというのが正直なところである。
ところが冬季雷を理解しようとするとき、気象学的知見も併せて解釈に努めないと、上手くいかないことが判ってきて、恥ずかしながら気象学の基本から独学で勉強した。
9. 雪起こし、鰤起こしと呼ばれる雷活動である
10. 一発雷と呼称されるほど、雷活動の継続時間が短い
11. 上向き放電で開始する落雷が多い
12. 正極性落雷の比率が高い
13. 水平に長く延びる放電路がしばしば観測される
14. エネルギーきわめて大きい(大電荷が中和される)落雷の観測されることがある
15. 非常に長い連続電流成分を持つ落雷の観測されることが多い
16. 雷雲のスケールが小さい
上記の属性を全て説明できてこそ初めて冬季雷を理解したといえるのだろう。つまりモデル化ができることになる。
ただ残念ながら、すべての項目を含んでの理解は、未だ完全とはなっていない。
北陸で正極性落雷が観測されて40余年が経過し、半世紀に喃々とする今日でも残念ながら解決されていないというのが実情なのである。
話が長くなりすぎてしまったけれど、だからこそ独学での気象学で老骨に鞭うっての生涯一研究者なのである。
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2017年01月24日

雷雨日続く

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昨朝は、明け方早くから雷雨。
いつも出かけることにしている時刻になっても、雨は止むふうもなく、雷鳴も本当に間断が無い。雨の様子はと窓の外を眺めてみれば、とてもこの土砂降りの中を歩く気にもなれず、
「自己都合の、三連休!」
を決め込んだ。というのも、職場に設置したLIVE のおかげで、自宅に居ながらに雷活動の様子を、不完全ながらも監視できるようになったからである。
そんなわけで、午前9時頃から正午過ぎまで、チャンギ空港のレーダ雲画像を見ながら、雷放電が起こるたびに送られてくる標定点を対比して、一人納得し続けた次第。
そして今朝、一昨日来の雨がまだ続いている。
でも今日は職場に向かおう。
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2016年11月17日

シンガポールのLIVE装置

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昨日夕方から、マイケル君が来星してくれている。
シンガポールに据え付けた、LIVEの最終調整のための来星である。
一データの総容量が1.5ギガバイト、それを一秒程度の間に、ハードディスクに書き込みかつ数値処理してというのは、如何に並列処理であったとしても、いささか荷が重い様なのである。それに雷放電が一分間に一回か二回程度であれば、それでも何とか数値処理はできるのだろうが、ここシンガポールでは、時として一秒に一回の雷放電というのが、数秒も続くこともあり、そうなってくると数値処理の時間遅れがどんどん加算され、実時間干渉計が担保されなくなるという、難儀が起こってきたのである。そこで最終調整の一つは、一時記憶されたデータをハードデスクに書き込む速度が十分速くなるようにと、日本のLIVEで使用中のハードドライブを一時借用して持ってきてくれた。よくよく尋ねてみれば、日本で使用中のハードライブのパイプライン数が、ここシンガポールで使用中のサーバーの純正部品よりも圧倒的に多く、
「これだけあれば、ハードドライブからハードディスクへの書き込みがスムーズとなって、スタックしないだろう。」
と、少々雷放電フラッシュが多かろうと、実時間処理が実現できそうな感じの説明で、とりあえず一安心といったところである。
もう一つの難儀は、LIVE装置を設置した天頂付近が俗にいう「ヌル(死角)」というべき状態となっていること。マイケル君の説明では下からの反射の影響が、パルス間の相関を担保しないためであろうとのことで、大地などからの反射を防ぐべく、平板アンテナを二層にするという、ちょっとした力技を提案してくれた。ただ死角があまりにもきれいな円形で、人為的な雰囲気すらあるため、今回の作業のみで解決するとは考え難く、こちらの解決は半信半疑なのである。取り越苦労でなければよいが。
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