2023年07月04日

激論を

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アメリカ合衆国独立記念日 Independence day
同じタイトルのハリウッド映画もあったっけ。
まぁ映画のことはさておき、アメリカ合衆国は祭日、盛り上がってるんだろうな。


弟子のY君と久しぶりに電話で、激論を戦わせた。
電話と言ってもLINE電話で、一時間話しても費用はかからないので気楽なものである。激論の主題は、帰還雷撃電流のモデル化といったところ。
数学的な意味でのモデルは、雷放電・大気電気学の教科書にいくつも取り上げられており、実用的な意味でこの爺と言えど不満はない。いやむしろ尊敬している。
一方物理という観点から、理解している研究者は多いのだろうが、きちんと記述できているかというとはなはだ怪しく、残念ながら現象論的な記述がほとんどで、学術的には甚だ不満である。
「上向きリーダーが、雷雲から降りてきたリーダーの先端に到達し、その瞬間に雷雲と大地が電気的に短絡され、その電位差から雷撃電流が開始する。」
といった具合。
残念ながらこれでは学問にならないというのが、爺の主張。
「じゃあどうすれば?」
と尋ねられても答えのないのが正直なところで、それゆえ教科書をと勧められても、なかなか筆が進まない。
日暮れて途遠しやなぁ。

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2023年06月27日

熱帯の雷は?!

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昨日言葉が足らんかったからか、今朝は朝からえらい雷雨や。
何が書き足らんのかちゅうたら
「わいはやっぱし現場第一と考える」
ちゅうとこや。
自動観測して記録はええとして、その現場におる研究者の感や眼もなかったらあかんやろうちゅう意味なんや。
古いちゅわれても74歳の爺は、生き方、考え方は変わらんで。
ほんでや昨日の一発雷と違うて、今日は午前中ずっとゴロゴロや。
やっぱし赤道帯の雷活動は、これがほんまなんやろ。
ほな昨日の一発だけドカンちゅうのは、なんやちゅうのが不思議や。
まさかマレーシアの研究者の好きなNarrow Bipolar event ちゅうわけでもないやろしな。
わいは意外と、高い建屋の避雷針から、上向き放電で開始する落雷かも知れへんと考えとる。それも遠くの落雷の電波で、高いビルの被雷針の先っぽが誘導電界で、放電開始電界強度を偶然に越してちゅうよな感じでや。これはあくまでも直観やけど、直感ちゅうのは意外と当たるもんやで。格言に
「直観は誤らない、誤るのは判断だ!」
ちゅうのがあるけど。まぁこの格言は麻雀の名人が言うたらしいんやが、自然科学者にも使えるんちゃうかな。
いずれにしても観測してみいひんと答えはでぇへんから、もうちょっとの辛抱かな。
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2023年06月23日

Melaka界隈を歩く

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昨日は、UTeMの北西70qほどにある二か所の観測候補地を見て回った。
最初はMasjid Tanahという地域の天文台。道中今日の候補地周りの運転を買ってくれたZikriさんから
「この天文台から月をみて、髪の毛ほどの月の見えるのを待って、ラマダン明けの宣言をするんだ。」
と教えられ
「さすがイスラム教の国、なるほどそんなものか。」
と妙な納得をしているうちに到着。
230623 天文台.jpg
天文台は上の写真のごとくで、最上階には天体望遠鏡があり、これは星の観測。その下階には、月の満ち欠けを見てイスラム教にとっての行事の開始をピンポイントで決める、小型の望遠鏡があった。これは自由に使ってみても良いそうで、同行してくれた数人のインドネシア人学生諸君とかわるがわる覗いてみた。
この天文台で改めて認識したのが、マレーシアにも宇宙飛行士がいらっしゃったという事で、天文台の展示室には次の写真が飾ってあった。同行のマレーシア人学生によれば、Medical Science とだから医学関係者らしく、現在は近くの大学に戻っているということであった。
230623 宇宙飛行士.jpg
もう一か所の候補地については明日にでも。
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2023年06月22日

UTeMにて

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昨日は夏至
そのためだろうか、今回滞在中のマラッカのホテルの近くのレストラン、昨日の夕方は閉店ばかりであった。
同行しているT君が一昨日ホテル周辺を探索した時は、
「こじゃれたレストランもありました!」
という事だったから、本当についてないとはこのことなんだろう。
一昨日はこの爺の到着が午後8時を過ぎていたこともあって
「もうホテルのアラカルトですませましょう。明日の夕食は出かけましょう。」
としたというのに・・・。
本務に戻って、昨日はUTeMの学内開放日とかで、来客も多かった。インドネシア・パレンバンからの来たという博士課程学生さんの講演を聞き、しばし議論の後研究室に移動し、ポスターセッションに参加した。T君はマラッカに来た目的の、背景雑音測定に精を出した。ポスターセッションでは、大気電気研究室よりも、すぐ隣でポスターセッションを開催しているモバイル系の研究室の方が人気が高く、阪大在職当時の状況と似ていると、思い出していた。若者の機を見るに敏は、ここマレーシアでも全く同じである。
次の写真は背景雑音測定後の、記念撮影というか証拠写真というか・・・。
230621 Meleka UTeM.jpeg

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2023年06月21日

通信鉄塔への落雷電流

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マラッカに来ている。
昨日クアラルンプール近郊の、火力発電所の煙突と、小高い丘の上に立つモバイル中継の鉄塔を見て回り、夕方五時半頃クアラルンプールを車で出発、午後八時過ぎにはマラッカのホテルについた。この地では三泊四日の予定で、アンテナ設置予定の候補地を見て回る。SATREPSプロジェクトに、頃から参加することとなった愛弟子のT君と二人連れのの調査である。とはいえUTeMの教員スタッフや学生さんが手伝ってくれる手筈とはなってはいる。
さて昨日見て回った二つ目の候補地、モバイル中継鉄塔、これは二十年以上も昔にNTTのKさん達が落雷電流を計測して、IEEEのEMCだったかの雑誌に投稿していらっしゃる。この種の調査は、装置自体が日進月歩ゆえ、また新しい結果が期待できる。それに記憶が正しければ、最近Riduanさんが注目している、正極性落雷に関しての内容もない筈で、それが経年変化なのかはたまた過去には観測にかからなかったのか、学術的には大いに気になるところである。
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2023年06月16日

APL 2023 終了

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三日間のAPLは、昨日午後三時ころ無事終わった。
そして次回のAPL 2025は、インドネシア・バリ島で開催されると、閉会式で紹介された。こう考えると、いやはや東南アジアの国々は元気がいいというべきだろうなぁ。
実は今年8月、同じバリ島で高電圧の国際会議が、バンドン工科大学の肝いりで開催される予定になっており、二つの国際会議は一部分野が重なっている。それでも二年後に開催とは、ある意味恐れ入ってしまわざるを得ないのである。ちなみにAPL 2025 ジャガマダ大学が肝いりとか・・・。
いずれにしても東南アジアの国々の元気の良いのは、アジア人の一人ととして喜ばしい。
ただ一方、こういった国際会議を主催すると、アジアの国の場合はいささか雑な運営になってしまいがちである。率直に言って、今回もその雑さが若干気になったのは事実。このAPLは中国清華大学のProf. HeがICLPやICOLSEに対抗(という気持ちがあったかなかったかは知らないが)する形で立ち上げられた会議。それでも欧米の組織力と比較すると、見劣りしてしまいそうながら、同じアジア人として応援している次第である。
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2023年06月14日

Yさん御逝去

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APL初日の昨日、開会式に引き続いて、日本のこの分野の第一人者Yさんのご逝去が報告された。私が「フランケン」と呼んでいた御仁で、私より2歳年上とはいえ、ほとんど同世代人だけに、大いにショックである。
実はこのYさんとの出会いは、私が空電研究所で将来の研究方向を模索していた折、空電研究所を訪ねてこられたのが最初である。
その折り
「福井県の三国火力の煙突に、本当によく落雷します!」
と、故人となられた竹内先生や先輩のNMさんに話された。だからその年1981年の冬季は、観測バスを九頭竜川河口のらっきょう畑の一隅に止め、火力発電所の煙突への落雷を光学観測したのである。これが私の雷観測に関わった最初で、その後ノルウェーでの観測や、国内のロケット誘雷実験へと参加機会が増え、雷放電の観測的研究が、本職となっていったのであったろうか。
同じころ、後に私が席を得た大阪大学工学部の電力工学講座から、これまた数年前に個人となられたYKさんが空電研究所を訪ねて来られ、それがきっかけになった竹内先生の関西電力との共同研究が始まった。こちらは夏季の雷活動が対象で、滋賀県の南郷で、同じく観測バスを止めてのレーダー観測、その頃には私自身観測の戦力の一人になっていたろうと信じている。そして一緒に観測に参加した仲間は、当時の学生さんとあれこれ教えて頂いたNMさん以外は、ほとんど鬼籍に入られてしまっている。
私自身、爺になったという事である。
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2023年05月13日

Ultimate Interferometer 9

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「ディジタルデーターを連続記録」するとは、一見馬鹿げている、あるいは先祖返りしてアナログ記録なのかといった、疑問を抱かせるかもしれない。
しかし、パルスの振幅でトリガをかけると、振幅の小さいのは記録できなくなる可能性があるうえ、トリガレベルを小さくすると、雑音なのか必要な信号なのかの識別が、容易でなくなる。それに2010年前後からモバイルのストリーミング機能が格段に進歩してきたので
「この技術を使えば、デジタル信号を連続記録してデータを比較的容易にアップロード、ダウンロードできる?」
とも考えたりしたのである。話を少し戻すが2000年になった当初は、対数増幅も試したりもしたが、最終的に「ディジタルデータの連続記録」を選択した。これは科学目的
「双方向性リーダの進展を、観測的に確認する。」
のためで、実用的には、レベルトリガー方式で、一つの雷撃あたり数千パルスを記録しての実時間を目指している。言い換えれば、実用的には不完全な双方向性リーダ進展の確認、科学的には完全な確認を目指したという事になろうか。
余談ながら、同じころ批判的であったニューメキシコのグループも、我々の方式に興味を持ち連続記録を模索し始めた。私はSD社と共同して三チャネル200MHzのサンプリングで、15分間連続記録という、メモリーのお化け(一データーテラバイト)のようなAD変換器を開発、それを阪大に来て学位論文をまとめたロトフィー君の成果として、エジプトの大学に収めてある。
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2023年05月12日

Ultimate Interferometer 8

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今日は私達が取り組んできた「広帯域干渉計」の、ディジタル記録について述べたい。取り組み始めた頃は、多チャンネルディジタルオシロスコープに、メモリーを増設することから始めた。VHF波帯(20−80MHz)のアナログ信号をディジタル記録するには、少なく見積もっての200MHzでサンプリングする必要があり、それも少なくとも3チャネルとなると、専用のAD変換器を設計する必要がある。当時(1990年代後半)には、まだまだ高速サンプリングのAD変換器は高価だったし、特別に注文するための予備観測による確認も必要であった。それにディジタルオシロスコープだと、連続記録やパルス毎にトリガーしてのイベントトリガー記録のいずれもが可能で、予備観測には十分の代替え機であった。そしてこの予備観測は、国内はもとより中国の奥地やオーストラリアダーウィンで実施、期待以上の成果を上げ、最終的にはSD社に、イベントトリガ方式で、イベント間のデッドタイムは1マイクロ秒以下、記録可能総イベント数は2000パルスとして共同で開発した。上限を2000パルスとしたのは、デジタルオシロスコープを利用しての予備観測では、充分目的を果たせた、言い換えれば
「トリガーレベルをうまく調整すれば、一雷撃の記録には十分!」
と、考えたからである。
ただその後、
「これでは、双方向性リーダーの確認に不十分であろう。」
と気付き、連続記録方式に舵を切ることになるのだが、それはまた明日にでも。
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2023年05月11日

Ultimate Interferometer 7

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我々の「VHF波帯広帯域ディジタル干渉計」のほかに、VHF波帯の時間差法で電磁パルスの放射位置を推定するLMA(Lightning Mapping Array)がある。ニューメキシコのグループが開発した装置で、実に綺麗に放電路を可視化でき、残念ながら我々の装置は、きれいな放電路の再現という点において、明らかに見劣りをする。
ただVHFのこの分野の大先輩プロクターの報告によれば、
「雷放電に伴って放射されるVHF波パルスには、バースト状のパルスと、孤立したパルスがあり、バースト状パルス波の位置推定は、時間差法では不可能である。」
と結論している。
プロクターの結論をよりどころに、我々は干渉計に正確にはディジタル干渉計に拘った。
実際北陸の冬季の雷活動は、1970年代初頭名古屋大学空電研究所の観測報告以降、世界中の来本殿研究者達から注目されるようになったのだが、先に述べたバースト状のVHF放射が、北陸冬季の正極性落雷の際によく観測されることもあって、
「これをきちんと解明してこそ!」
の願いもあっての拘りなのであった。
昨日述べた「双方向性リーダー」の進展は、LMAやLF時間差法装置でもどうにか可視化できるけれど、完全な形でというには、程遠いというのが身びいきもあっての私の実感である。
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