2019年06月03日

地球温暖化と雷活動 2

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昨日の話を続けよう。
エフリナさんは、バンドン工科大学からの留学生で、最終的には工学博士を取得されて、母校の講師に戻られた才媛で、今でもコンタクトを取り合っている。
そのエフリナさん、データ処理が得意だというので、当時NASA-JAXAの共同プロジェクトとして打ち上げられたTRMM (Tropical Rainfall Measuring Mission)のセンサーの一つLIS (Lightning Imaging Sensor)の解析をお願いしたのであった。
都合のいいことにというべきだろう、1998年から続いたエルニーニョが終わって、通常通りの状態に戻っていたので、
「エルニーニョ時と通常時に比較ができるよ!」
と、解析を進めた次第。
エルニーニョ期は太平洋西部のインドネシア付近は、降水量の減ることが知られており、
「雨がなければ、雷活動にはならない。」
ことから、エルニーニョ期すなわち雷活動低調と予想していたのが、エフリナさん曰く
「エルニーニョの時のほうが、雷活動がかえって活発なんです。何度も見直してみましたが、プログラムには誤りはありません。」
と、頭を抱えながらの報告であった。この爺も一緒になった検討してみたが、解析の手順は正しいようで、
「それならRADARも調べてみよう。」
ということになった。降水の頻度事態、これは予期されたように、平常時に比べエルニーニョ時は、随分と少なくこれまでの知見と矛盾しない。しかしやはりLISの結果と矛盾してしまう。そこでLISとTRMMを併せて詳細に検討してみると、雷放電の活動は積乱雲が非常に高く成長しているときに集中しており、
「エルニーニョ時降水活動は、一般的には低くなるけれど、ごくまれに非常に高高度まで積乱雲の成長することがあり、その際の雷活動は尋常なものではない。」
との結論を導き出せた。早速米国の関連学会誌に投稿させたのは当然である。

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2019年06月02日

地球温暖化と雷活動

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先日、一緒に仕事をしている仲間が急に
「地球温暖化で雷活動がより活発になっているのかなぁ。この辺りは石油会社がおおいし、製油所も落雷の被害には敏感だから。」
切り出してきた。
ちなみに一緒に仕事とは、私がBOLT(Broadband Observation network for Lightning and thunderstorms)と呼んでいる雷活動の監視装置の一部を製作してくれている仲間で、最終的にはBOLTを何としても稼働したいと協力し合っている仲間である。ただこの仲間、技術的なことには興味を示す反面、雷放電物理そのものには、今まであまり興味を示す風ではなかったし、関連する論文を渡しても反応が乏しかったので、技術的な興味で協力してくれているのかと、考えていた。だから冒頭の質問には、本音で驚かされる思いであった。
まぁそんなことならと、まずは新世紀になったころ、エフリナさんの解析したエルニーニョ時と平常時の雷放電活動、降水活動の比較結果を話してみた。それが意外な食いつきで、これなら物になるかな何ぞと、またぞろ元大学人の興味がわいてきた次第である。ちなみに御当人はやはり
「博士の学位を取りたい。」
と仰っていた。
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2019年04月10日

上向き放電で開始する落雷 6

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正だ負だという話は、専門外の御常連には興味の他だろうから、その辺りは丸めてしまって続ける。一昨日、上向き放電の発生する条件を3項示した。少し退屈な内容ながら、1.静電界による効果、2.誘導電界による効果、そして3.放射電界による効果ということになる。一昨日も述べたように、1はお迎えのリーダ(Connecting leader)が大地に向かってくるリーダーに繋がって落雷となるのだから、「上向き放電で開始する落雷」とはならない。ということで、以後は2と3に限っての議論ということになる。
そして2項は、構造物の上空を雲放電が走るという偶然が条件で、上空の広がりをどの程度と考えるかは難しいけれど、距離の自乗に逆比例して影響が少なくなることから、高々二三キロメーターというのが私の判断である。さらに3項は放射電磁界の効果だから、距離に逆比例し構造物の高さに比例してというのが直感的な理解で、雷活動の活発な熱帯地方では頻繁に起こっているのだろうと考えている。それにモバイル通信の普及で熱帯のこの地にも通信用の塔が、小高い丘の上に数多く建設されているから、上向き放電の開始が頻度を増やしているのは、疑う余地のないところ。そしてこれらの何割かが現実の落雷となっているとしたら・・・。
さらに書き加えねばならないのは、2項であれ3項であれ上向き放電はその開始時から、塔に電気的につながっている設備に影響を及ぼすうえ、落雷となった時比較的大電流・大電荷になる観測事例が少なくなく、被害も大きくなることが多い。通常の落雷なら、高々1000分の1秒ほどの継続時間であるのに、「上向き放電で開始する落雷」の場合には諸設備が、10分の1秒、5分の1秒間も過酷な環境にさらされることとなる。定量的な考察は専門書や論文に任せるとしても、上向き放電による落雷を無視できないことだけでも理解して頂ければ幸いである。
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2019年04月09日

上向き放電で開始する落雷 5

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落雷には、正負のあることは知られている。正極性落雷と負極性落雷である。自然とは不思議なもので、途中で極性が反転する両極性落雷というのもあるが、これなんぞはどちらかというと稀有な落雷と考えてよい。さらに言うなら正極性落雷だって、負極性落雷に比べれば極めて稀な現象なのである。これは雷雲の電荷構造に起因しており、ここではあまり詳細に取り上げないことにしたい。ただ自然落雷に正極性落雷のあることが明らかとなって、まだ50年しか経っていない。
正極性落雷であれ、負極性落雷であれ雷雲内の電荷が中和されたとき、落雷という現象が完結する。英文ではCharges are lowered to the ground と表現されることが多く、「電荷が大地に引きお下ろされる。」ということになるのだろうが、私は個人的にはこの表現をあまり好まず、中和されるということにしている。というのも、正極性落雷と負極性落雷では、根本的に中和の在り方が異なると理解しているからである。
まず負極性落雷の場合、中和されるべきは、雷雲内の負電荷である。中和にあたっての電流の向きは、大地から雷雲負電荷領域に向かってながら、負電荷の担い手である電子という観点からは、雷雲から大地への移動ということになる。だからこの場合 Negative Charges are lowered to the ground という表現は納得できる。
次に正極性落雷を考えるなら、中和されるべきはこれまた雷雲内の正電荷であり、中和にあたっての電流の向きは、雷雲正電荷領域から大地へ向かうことになる。といっても正電荷が大地に向かうのでは決してなく、負電荷の担い手である電子が雷雲に移動して、見かけ上正電荷が粗方中和されたとき雷撃電流が終わることになるので、この場合は Negative Charges are lifted up to the thundercloud というのが正確な表現であると、私は考えているのである。
ここで今一度「上向き放電で開始する落雷」に話題を戻す。
ここでいう開始とは、リーダー進展の開始を意味しているのだが、当然正負二つの極性について考えねばならない。今までリーダー進展の極性依存を論述してこなかったけれど、室内実験や野外観測を通じて、両者の際立った違いが明らかにされてきている。そしてこれらにより、高構造物から上向きに開始するリーダーの極性依存に関して、いくらかの知見も得られている。
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2019年04月08日

上向き放電で開始する落雷 4

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年間雷撃密度とでも和訳すればいいのだろうか、Flash density について考えてみたい。
1平方キロメートル当たり1年間当たりの落雷数で、例えばここシンガポールなら20flashes/km2/yearとされている。一年に20の落雷が多いと考えるか、少ないと考えるかは微妙なところであろうが、その議論はいましばらくはさておいたまま話を進める。いま50m×50mの正方形で1平方キロメートルを分割するとすれば、400区画に分割されることになる。ここで落雷する位置が確率的に一様分布であると仮定するなら、先程考えた正方形の区画への1年あたりの落雷数が20分の1となり、言い換えれば20年に一度の落雷と求められる。実のところシンガポールは世界的に見ても雷活動の多発地帯で、そんな地でも50m×50mの区画への落雷は20年に一度程度なのである。なおここで50m×50mの区画を例にとって考えたのは、ステップトリーダーの大雑把な平均長が50m程度であることを根拠としている。実際落雷は殆ど一点みたいなものだろうから、同じ点へ一年に何度も落雷する確率は、たとえ避雷針を装備していたとしても、さらに低いものになるのである。
しかしその一方現実に我々は、何度も落雷被害に遭う構造物の存在を知っている。確かに「雷雲の通り道」の存在するらしいことを認めているとはいえ、通常の落雷が一か所に集中することなどあり得ないのである。だから私はその原因を「上向き放電で開始する落雷」にあると考えている。
高構造物や避雷針からの上向き放電の開始は
1. 下向き放電のリーダーが近づいてきたとき
2. 水平に延びる雲放電が、偶然構造物の上部を走ることによる
3. 他地点への落雷による電磁放射波が、構造物に電流を誘起することによる

と分類できることは、一応一致した意見である。ここで1と2は、高構造物の位置と雷雲の位置が関係するのだから、落雷という結果になるのなら、それは「下向き放電で開始する落雷」という、通常の現象であろう。一方3は、確かに上空に雷雲がないなら落雷とはならないけれど、運良く(運悪く)雷雲に「上向き放電」が至るような場合には落雷となるが、これは擬人的に言うなら「雷雲が全く落雷する気の無かった」場合で、明らかに前者とは異なると考えることができるのではないだろうか?つまりこういうのをここでは「上向き放電で開始する落雷」と定義している。ちなみにロケットによる誘雷も当然「上向き放電で開始する落雷」であることに違いはない。
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2019年04月07日

上向き放電で開始する落雷 3

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Berger の研究以前にも、ニューヨークの摩天楼エンパイアステートビルディングへの落雷の研究もあったりして、高構造物への落雷は専門外の方々にも多く知られていた。とはいえ「上向き放電で開始する落雷」といった禅問答のような解釈は、少なかったのではないだろうか。それに「上向き放電で開始する落雷」が、高構造物に常について回るもののなら、パリのエッフェル塔や東京タワーがそのことでもっと注目を浴びることになったに違いない。実際パリのエッフェル塔や東京タワーに頻繁に落雷するといった報告は聞いたことがなかったような気がする。ただ近年というべきだろうか、モバイル通信の需要と関連して、多くの通信鉄塔が雷活動の活発な東南アジアの各国内に建設されるに及んで、落雷による被害が顕在化するようになってきたことも事実である。報告によれば、毎年のように落雷被害に遭うようなこともあるらしく、
「熱帯だからねぇ!」
と半ばあきらめ気味の言い訳を聞かされたりもしている。余談ながら、昨日述べた福井県の送電鉄塔も、似た事例である。
話は変わるが、そもそも落雷は雷雲内の電荷分布が引き起こすものであり、いかに高構造物といえども毎年のように落雷被害に遭うというのは、二年連続してならならいざ知らず、ほかに原因がきっとある筈なのである。そして私は「ほかの原因」は、「上向き放電で開始する落雷」に違いないと確信、そしてこの確信は私だけのものではきっとなく、冬季の雷活動を研究の対象にしている大気電気学者なら、たぶんお持ちだろうと信じているのである。
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2019年04月05日

上向き放電で開始する落雷

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「上向き放電で開始する落雷」こんな風に書くと、専門外の方は混乱を起こされるかもしれない。普通落雷は、下向き放電で開始するのだから無理はない。しかしである、1980年代から名古屋大学のグループを中心に実施され、大いなる成果を出した「ロケット誘雷」はまさにそれで、「雷雲に向かって進展してゆくリーダが、雷雲内の電荷領域に到達したならば、続いて下向きのリーダが下向きに伸びてきてやがて大地に到達、そして帰還雷撃という雷電流が雷雲に向かって流れ、結果として雷雲の電荷を大地に引き下ろしてしまう。」
のだから、落雷以外の何物でもない。つまりこれを上向き放電(リーダ)で開始する落雷というのである。その後高い高い構造物などからもやはり、上向き放電の開始することが分かったし、モバイル通信との関連で山の上に通信鉄塔が数多く建設されたり、風況の良い地域に風力発電機が建設されたりして、この「上向き放電で開始する落雷」が、深刻な被害を多く出すようになってきているのである。
この爺、大阪大学を定年退職したのが6年前で、その後研究とはおさらばし、のほほんと暮らしてきたけれど、ここにきてがぜん研究意欲が湧いてきており、現在関連のある論文を読み漁る毎日である。ロートルながら6年の充電期間を経て、意気軒高なのである。乞御期待!!
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2019年03月31日

アシュートからのメール

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E-JUSTに滞在時知り合った、というより同僚であったエジプト人教授Hさんからメールが入った。ご本人は現在アシュート大学に戻っていらっしゃって、E-JUSTとは現在縁が切れていらっしゃる。かくいう私も、個人的なつながりでE-JUSTのスタッフとは交流があるものの、アレキサンドリアからトンとお呼びがかからないのも事実。ただそれでも依然細い糸で繋がっているのは有り難い。
さてH教授からのメールである。
「同僚に日本で学位をとった教授がいる。大阪大学のBOLTやLIVEに興味を持っているようだから、直接メールしてみろ。」
というのである。
とりあえず助言通りメールしてみる積もりながら、まずはグーグル検索して、人となり、早い話ご本人の専門を調べなければなるまい。そもそもアシュートについても私は詳しいことを知らないのだから、頓珍漢なやり取りとならないよう。
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2018年10月03日

広帯域干渉計

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停年退職した次の年以来、久々に国際会議に参加している。
インドネシアはスマトラ島のパレンバンの近くに位置するBangka島のPangkal Pinann というリゾート地にあるSoll Marinaホテルが会場である。当然宿泊も同ホテルで、文字通りの職住接近でそれなりに楽ができている。ただ国際会議とはいっても、東南アジア限定に近く、インドネシア、マレーシアが主たる参加国で、参加人員も100名弱といったところであろうか。ただ主催者のアブバカル教授の説明によれば、IEEEの要請は
「論文の採択率を70%以下に抑えて質を保て!」
といったところにあり、130近く集まった原稿から80篇強を選んだという事で、かろうじて矜持を保っている様である。
さてこの会議に来てうれしかったことがある。発表の中にVHF干渉計絡みの内容があり、セッション終了後著者と話していたら、
「マルディアナの論文を真似て作っているのだ。」
というではないか。
「レディー マルディアナは私の弟子だ!」
という私に
「という事は、あなたが広帯域干渉計の考案者か?」
との驚きが上がった。
「蒔いた種が少しずつ広がっているな。」
というのがうれしい実感であった。ただ惜しむらくはレディーさんが、道半ばなして転職してしまったことで、それは大阪大学としてきちんとサポートできなかったことも原因していると、自戒の念もちょっぴりである。
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2018年09月21日

雷から身を守るには

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10年前の今日の話題
落雷の話をしたい。落雷にはまばゆいまでの光と,おどろおどろしいまでの音が伴う。ご存知のようにといってよいだろうか,前者を電光,後者を雷鳴という。電光を「雷光」と呼んだり,「稲光」とも呼んだりすることがあるけれど,「雷光」はあえて言うなら誤用である。余談ながら,広辞苑などの国語辞典を開いてみて確認して欲しい。電光の項には,ていねいな「定義」が示されているけれど,雷光の項には,わずか一行の説明である。
余談はさておき,電光と雷鳴の話である。良く戴く質問に,
「稲光を見てから,ゴロゴロを聞くまでの間隔が長かったら,落雷被害に遭いませんね?」
というのがある。電光は1秒間に地球を七回り半,30万km,走るのに対し,雷鳴は1秒間で300m程度しか伝わらない。実は電光も雷鳴も落雷の瞬間に発生しており,電光はその速さから落雷の瞬間に私達の眼にとまる。一方雷鳴は音速で伝わるので,通常電光から遅れる。落雷点までの距離は,両者の時間差に比例するのである。だから10秒遅れなら3km,20秒遅れなら6km,30秒遅れなら9km離れた地点に落雷していることになる。10秒程度の時間差なら雷鳴も結構大きく安全だとは思われないだろうが,30秒程度なら9kmも向こうだから安全だと判断されるらしい。ただ私の答えは「否」で,その答えを聞いて質問された方は怪訝そうな顔をなさる方が多い。なまじ光と音の伝搬の速度の差をご存じのため,皮肉な言い回しながら,「生兵法は怪我のもと」というのが,私の本当に差し上げたい答えである。そして残念ながらこの誤解はかなり多くの方々にまで行き届いている。雷放電物理の研究者としては,大いに責任を感じるところで,今日はこの誤解を解くことにしたい。
とはいえ稲光を見てから雷鳴を聞くまでの時間差で,大体の距離を知るという行為は間違ってはいない。ただ雷雲は直径10〜15km程度の広がりを持っており,落雷を起こす電気(正確には電荷)はその雷雲のあちらこちらに溜まっていると思って良い。それにもうひとつ,周囲の環境に依存するとはいえ,雷鳴の届く範囲は15km程度であるから,
「雷鳴が聞こえるという事は,頭上の雲が電荷をもった雷雲である。」
ということになる。だから今9km向こうに落雷したからといって,次に真上から落っこちてこないとは限らない。いやむしろ遠くの電荷が落雷でなくなったので,次は頭上の電荷が落雷する可能性も低くはないのである。速い話雷鳴を聞いたら,稲光からの時間が長かろうが短かろうが,危ない危ないと考えて戴きたいのである。
このように申し上げると,またまた訳知り顔のお方なら
「そうですね,電気は速く走りますからね!」
と,大阪風にいう突っ込みを入れて下さるが,電気の走るのが速いから次に来るのではなく,頭上の電荷が落雷してくるという点を強調しておきたい。つまるところ雷鳴を聞いたら,そしてそれがもし駐車場などのだだっ広い場所や登山路であったら,何はさておき安全な場所に逃げ出すことを考えて欲しいのである。なお,安全地帯への逃避行についての詳細は,拙著「雷に魅せられて」(化学同人社刊)を読んで頂ければ幸い。この本は専門書ではなく,雷から身を守るための啓発書。中学生や高校生以上の方なら,十分読んでいただけるはずである。拙著の宣伝はともかく,稲光のピカッを見てから,雷鳴のゴロゴロを聞くまでの時間差で,落雷地点までの距離を測るのは,家の中や車の中でと助言を差し上げ,クワバラ,クワバラと退散させて戴くことにしよう。
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