昨日の話を続けよう。
エフリナさんは、バンドン工科大学からの留学生で、最終的には工学博士を取得されて、母校の講師に戻られた才媛で、今でもコンタクトを取り合っている。
そのエフリナさん、データ処理が得意だというので、当時NASA-JAXAの共同プロジェクトとして打ち上げられたTRMM (Tropical Rainfall Measuring Mission)のセンサーの一つLIS (Lightning Imaging Sensor)の解析をお願いしたのであった。
都合のいいことにというべきだろう、1998年から続いたエルニーニョが終わって、通常通りの状態に戻っていたので、
「エルニーニョ時と通常時に比較ができるよ!」
と、解析を進めた次第。
エルニーニョ期は太平洋西部のインドネシア付近は、降水量の減ることが知られており、
「雨がなければ、雷活動にはならない。」
ことから、エルニーニョ期すなわち雷活動低調と予想していたのが、エフリナさん曰く
「エルニーニョの時のほうが、雷活動がかえって活発なんです。何度も見直してみましたが、プログラムには誤りはありません。」
と、頭を抱えながらの報告であった。この爺も一緒になった検討してみたが、解析の手順は正しいようで、
「それならRADARも調べてみよう。」
ということになった。降水の頻度事態、これは予期されたように、平常時に比べエルニーニョ時は、随分と少なくこれまでの知見と矛盾しない。しかしやはりLISの結果と矛盾してしまう。そこでLISとTRMMを併せて詳細に検討してみると、雷放電の活動は積乱雲が非常に高く成長しているときに集中しており、
「エルニーニョ時降水活動は、一般的には低くなるけれど、ごくまれに非常に高高度まで積乱雲の成長することがあり、その際の雷活動は尋常なものではない。」
との結論を導き出せた。早速米国の関連学会誌に投稿させたのは当然である。

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