昨朝から東京に来ている。
大気電気学会の研究発表会に参加するための上京である。
会場は小金井市にある情報通信研究機構。この機構,もともとは電波研究所,その後通信総合研究所と改組(改名?)し,その後独立行政法人となって今日に至っている。小生が大阪大学の大学院生だった頃,そう電磁界理論を研究の対象としていた頃,その分野の大家と言われるF先生がこの研究所の一員と聞かされて,非常に距離間を感じたものである。というのも,小生が学生であった事を割り引いても,F先生の電磁界理論研究会で発表される内容の難解さは並大抵ではなかったからである。距離間というより,ある種の憧れであったのかも知れない。
学業を終えて後奉職したのが,名古屋大学空電研究所。学生時代の格好よく言うなら理論研究,現実的には大型計算機を駆使しての数値計算から,野外での観測的研究所へと,研究の進め方が180度も変わったのに,就職先の空電研究所と電波研究所とが互いに関係しあってると知らされて,何やら因縁めいたものを感じた。そして,学生時代に抱いた距離間は,いつの間にやら随分と改善されていた。さらには,空電研究所に在職中,電波研究所から教授の先生が赴任して来られ,距離間が完全に無くなったというのが実際のところ。
そうして10年後に大阪大学に戻ったけれど,その頃には研究所は改組(改名?)していて,色々なプロジェクトで研究所の方々と一緒になるにつけ,
「自分自身の研究者としての活動範囲は,広い様で案外狭いのだ!」
と認識する様になっていった。
昨日からの情報通信研究機構訪問で,ちょっとばかし,自身の歴史を思いだしている次第である。

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